ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭
街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会 の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。
このうち、約3割の10件は原材料などの物価高が原因だった。さらに、値上げによる売上減とコンビニの冷凍スイーツなど、人気商品の台頭に敗れたケースもある。起死回生のブームを巻き起こすスイーツも現れず、年間(1-12月)では50件を超えそうだ。
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2025年1-9月の負債1,000万円以上の菓子小売業(製造小売)の倒産は、37件(前年同期比15.6%増)で、前年を上回るペースで推移している。
2006年から20年間の1-9月の推移は、2013年が最多の34件だった。景気やブームなどで倒産は増減を繰り返し、2016年は14件まで減少した。2020年からのコロナ禍は、資金繰り支援策の効果で倒産が抑制されたが、支援策が縮小した2023年は18件、24年は32件と次第に増勢に転じていた。
37件の倒産事例の分析
倒産した37件のスイーツ店を分析した。従業員数は5人未満が29件(構成比78.3%)、資本金1,000万円未満(個人企業他含む)が32件(同86.4%)と、小・零細規模のスイーツ店が大半だ。
都道府県別では、最多が東京都と大阪府の各5件。次いで、福岡県が4件、愛知県と兵庫県の各3件が続いた。
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ケーキやカヌレ、プリン、まんじゅうなど、各スイーツの材料費が高騰し、電気やガス料金も上がっている。そこに職人不足や人件費、賃料などのコストアップも重くのしかかる。
だが、商品の値上げは限界にきている。価格転嫁は売上減を招きかねない。価格の据え置き策は、サイズを小さくするか、材料を半分にするか。
“値ごろ感”と“味”で人気を維持するコンビニやスーパーなどのスイーツとの競合は激化の一途を辿る。
街のスイーツはもはや「高値の花」か。季節は変わってもスイーツ店の悩みは尽きない。