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りそな銀行、メイン取引先数が増加 ~ 大阪府内企業の取り込み加速 ~

 関西や首都圏で大企業から中堅・中小企業のメインバンクとして確固たる地位を築くりそな銀行。「2025年全国メインバンク調査」では、メインの取引社数は3メガバンクに次ぐ4位の4万511社だった。だが、りそなグループ(りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行)では8万4,937社に達し、みずほFGを抜いて3位にランクされる“隠れメガバンク”でもある。
 都内企業を主力にする3メガバンクと異なり、メイン取引先は本店のある大阪府が4割を超す。ただ、東京都も33.9%で続き、二大都市圏が主地盤になっている。産業別では、サービス業他が24.0%、建設業21.7%、卸売業13.6%と、偏りが少ないのも特徴だ。
 東京商工リサーチ(TSR)が保有する全国160万5,166社の企業データを活用し、りそな銀行がメインバンクの企業を分析した。

りそな銀行本店ビル(TSR撮影)

りそな銀行本店ビル(TSR撮影)


大阪府内企業向けが4割超

 りそな銀行の有人店舗は、全国で325店(2025年4月1日現在)あり、札幌支店、福岡支店など全国各地に店舗網を広げている。
 また、りそなグループは大和銀行と近畿大阪銀行、奈良銀行が持株会社を設立。その後、あさひ銀行がグループ入りし、りそなグループが誕生した。また、関西みらいFGを2024年4月にりそなHDが吸収合併し、3メガバンクに次ぐ金融グループとなった。
 りそな銀行(単体)がメインバンクの4万511社を分析すると、関西地盤の金融機関の統合もあり、取引企業の本社地は大阪府(1万6,999社)が41.9%で最も多い。次いで、東京都(1万3,735社)33.9%、神奈川県(3,130社)7.7%、兵庫県(1,786社)4.4%、奈良県(739社)1.8%と続く。

りそな銀行がメインバンクの企業所在地 都道府県別(上位10)

店舗別、新大阪駅前支店がトップ

 取引支店(店舗)では、最もメイン取引社数が多かったのが、新大阪駅前の745社。次いで、2位に渋谷の716社、3位に船場の707社、4位の大阪営業部の569社、5位の新都心営業部の545社、6位に秋葉原の507社、7位に東京中央の502社、8位に難波の499社、9位に梅田の456社、10位に池袋451社がラインクインした。
 上位20のうち、支店所在地は大阪府内が11支店、東京都内が8支店、兵庫県内が1支店だった。

りそな銀行がメインバンクの取引社数 支店別(上位20)

産業別

 りそな銀行がメインバンクの企業を産業別にみた。最多は、経営コンサルタント業を含むサービス業他(9,751社)の24.0%、建設業(8,791社)21.7%がほぼ均衡する。次いで、卸売業(5,532社)の13.6%、製造業(5,047社)の12.4%、不動産業(4,156社)の10.2%が続く。
 細分化した業種中分類別では、建築工事業(1,300社)が3.2%で最も多く、受託開発ソフトウェア業(1,205社)の2.9%、貸事務所業(894社)の2.2%が続く。

りそな銀行がメインバンクの取引社数 産業別

事業規模は大企業から小規模まで

 売上高別(判明分、決算未達除く)で一つの特徴が浮かび上がる。1億円未満(1万7,253社)の中小企業が46.8%とほぼ半数を占める。これは地域に密着した中小企業を、りそな銀行がメインバンクとして支えている構図がみえてくる。
 一方、10億円以上(5,527社)は15.0%で、うち100億円以上(670社)は1.8%だった。メガバンクに比べ大企業の比率が低く、大企業から小規模事業者まで幅広い取引先がメインにしていることがわかる。
 

直近1年で新たに2,147社のメインに

 りそな銀行がメインの取引先数は、2024年3月末は3万9,777社だったが、2025年3月末は4万511社に増えた。
 2025年3月までにメイン取引先から外れた1,413社を分析すると、メインから外れた理由は、廃業や解散、合併、その他(751社)が半数を超える53.1%。
 次いで、他行への変更(517社)が36.5%、倒産(145社)が10.2%となっている。
 一方、メインバンクを変更しなかった取引先は3万8,364社で、新たに2,147社がりそな銀行をメインバンクとした。
 新たにメインバンクとした2,147社の本社地は、大阪府(1,043社)が50.5%で、大阪府の企業の取り込みが加速している。ただ、2位の東京都(725社)は35.1%で、神奈川県(107社)の5.1%を加えると首都圏も半数近くを占め、大阪と東京の二大拠点のいずれも成長している。
 産業別では、サービス業他(618社)が28.7%で最も多い。次いで、建設業(509社)23.7%、不動産業(219社)10.2%だった。

直近1年で新たに2,147社のメインに



 りそな銀行は、関西、首都圏の中小企業を主地盤にして存在感を際立たせる。メガバンクと異なる立ち位置を生かし、取引先は大企業から小規模まで、すそ野が広い。
 注目されるのは地銀との連携だ。京葉銀行と業務提携するなど、りそなグループのプラットフォームを生かした連携や提携が進んでいる。地銀再編が活発になりつつある中、りそな銀行の動向にも目が離せなくなってきた。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年9月16日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

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