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「調剤薬局」 中小・零細はリソース不足で苦戦 大手は戦略的M&A、再編で経営基盤を拡大

2025年「調剤薬局」動向調査

 調剤薬局の大型再編が加速するなか、2025年1-8月の「調剤薬局」の倒産は20件(前年同期比9.0%減)で、過去最多の2021年同期と2024年同期の22件に迫る多さだった。今後の展開次第では、年間初の30件台に乗せる可能性も高まっている。

 「調剤薬局」の2024年度業績は、資本金1億円以上(11社)が売上高9,031億円(前期比8.0%増)、当期利益145億円(同7.2%増)と増収増益に対し、資本金1億円未満(592社)は売上高6,717億円(前期比3.4%増)、当期利益88億円(同48.7%減)と増収減益で、規模で二極化した。

 調剤薬局は、地方を中心に薬剤師不足が深刻さを増している。人材確保には待遇アップが必要だが、賃上げ原資の確保については企業規模で対応が分かれる。大手はM&Aや多角化で業績を伸ばす一方で、中小・零細企業は、資金制約もあり対応が進まない企業も多い。このため、小規模な調剤薬局では、薬剤師に不測の事態が起こった場合、事業停止に至るケースもある。
 収益が悪化する中小企業が増加する一方、新規参入が多いのが調剤薬局の特徴だ。ドラッグストアや大手の総合小売業者など他業種からの参入もあって、顧客の奪い合いは加速している。
 また、OTC(一般用医薬品)類似薬の保険適用見直しの検討が進み、調剤薬局専業の事業者へのマイナス影響も懸念される。ドラッグストア併設の調剤薬局は、調剤部門の売上げ減少をドラッグストアで補完できるが、調剤薬局専業業者は補完するすべがなく、業績に与える影響は大きくなる。
 業界再編の動きでは、2025年8月、(株)アインホールディングスが「さくら薬局」展開のクラフト(株)を買収し、傘下に収めた。このほか、業界大手の日本調剤が、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズによるTOBで株式を非公開化している。M&Aや経営統合などで業界再編が進むなか、ビジネスモデルの変革の波に乗れない企業の退出が、今後さらに増える可能性が高い。

※本調査は、負債1千万円以上の倒産集計から日本標準産業分類「調剤薬局」の倒産を抽出し、分析した。

※業績は、東京商工リサーチの企業データベース(約440万社)から、単体決算で2024年度(2024年4月~2025年3月)を最新期とし、3期連続で売上高と当期利益が判明した「調剤薬局」運営を主業務とする603社を抽出し、分析した。



調剤薬局の倒産は高止まり傾向

 2025年1-8月の調剤薬局の倒産は、件数が20件(前年同期比9.0%減)だった。前年同期を下回っているが、2021年同期、2024年同期の22件に次ぐ2番目の高水準で高止まりしている。
 主な倒産では、2025年8月31日に首都圏中心に調剤薬局をグループで展開していたシティ・メディカル・ホールディングス(株)と関連会社3社が、負債合計30億2,600万円を抱えて会社更生手続開始決定を受けた。前年の2024年7月には約60カ所の調剤薬局を全国展開していた寛一商店(株)と関連8社が負債合計111億6,000万円を抱えて会社更生法の適用を申請している。調剤薬局の倒産は、中小・零細企業が中心だが、最近は複数のグループ企業を傘下に置く中堅規模の企業も目立つ。

「調剤薬局」の倒産動向

2015年以降、2022年を除き新規参入数が退出数を上回る

 退出動向をみると、2024年は倒産28件、休廃業・解散87件で合計115件が退出している。一方、新設法人数は120件で、新規参入企業が退出企業数を5件上回った。
 2015年以降、退出企業数が新設法人数を上回ったのは2022年のみ。新設法人数は2019年の163件をピークに、コロナ禍の2022年は109件まで減少したが、2023年以降はジワリと増加に転じている。
 薬価引き下げや人件費や各種コストアップで、収益が圧迫されている企業は多い。加えて、新規参入や他業種からの参入で競争も激しさを増し、厳しい競争環境から淘汰が進んでいる。

「調剤薬局」の新規参入・退出動向

大手企業と中小企業で業績は二極化

 2024年4月期から2025年3月期を2024年度(最新期)とし、3期連続で売上高と当期利益が判明した603社の業績動向を分析した。2024年度は売上高1兆5,748億円(前期比6.0%増)、当期利益234億円(同24.0%減)で、中小・零細企業の大幅減益に引きずられ、増収減益となった。
 資本金別では、資本金1億円以上(11社)が売上高9,031億円(前期比8.0%増)、当期利益145億円(同7.2%増)と増収増益だったのに対し、資本金1億円未満(592社)は売上高6,717億円(前期比3.4%増)、当期利益88億円(同48.7%減)で増収となったが、収益は大幅減益だった。
 利益率は、2022年度、2023年度は、資本金1億円未満が2%を超え、同1億円以上を上回った。しかし、最新期は資本金1億円未満が1.3%に落ち込み、同1億円以上が1.6%で逆転した。
 水道光熱費・家賃などの高騰に加え、薬剤師や従業員確保のための人件費アップも調剤薬局の利益を圧迫している。大手が事業の多角化やM&Aなどで、スケールメリットを生かす戦略推進で、利益を改善させたのに対し、中小・零細企業はリソース不足でコストアップに有効な対抗策が打てず、収益悪化に陥った企業が多いようだ。

「調剤薬局」の業績動向

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