• TSRデータインサイト

8月の「円安」倒産3件、2カ月連続で前年同月を下回る 負債総額は2カ月ぶりに30億円を超える

2025年8月 「円安」関連倒産(8月31日現在)


 2025年8月の「円安」関連倒産は3件(前年同月比50.0%減)で、前年同月から半減した。負債総額も34億円(同23.6%減)と減少し、件数・負債ともに2カ月連続で前年同月を下回った。

 2025年1‐8月累計は40件(前年同期比25.9%減)にとどまった。負債額は2月の丸住製紙(株)(愛媛、負債590億円、民事再生法)が押し上げ、954億8,300万円(前年同期比310.0%増)と4.1倍増と大幅に膨らんだ。

 8月の主な倒産は、絨毯・カーペット販売の(株)モリヨシ(大阪、負債16億円、破産)、紳士衣料品販売の(株)ミエル(宮城、同12億円、破産)など、円安による仕入価格の上昇分の価格転嫁が難しかった企業で目立った。

 「円安」倒産は、2022年7月から38カ月連続で発生した。8月は月初1ドル=150円台だったが、その後は1ドル=146円~148円台とジリジリと円安に戻した。
 円安に伴い輸入財の価格が上昇し、物価が高止まりしている。さらに、人件費の上昇も重なり、収益悪化が懸念材料になっている。また、トランプ関税で不透明感も出ているが、円安の影響は内需型産業にまで及んでおり、価格転嫁が難しい中小・零細企業の動向に注意が必要だ。

円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ