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プライム上場の太陽HD、株主総会で社長の「再任否決」が浮上 ~ 筆頭株主と海外ファンド、創業家が再任反対を表明 ~

 化学・医薬品メーカーの太陽ホールディングス(株)(TSRコード:291071228、東証プライム)が6月21日に開催する定時株主総会で、佐藤英志社長の取締役再任議案が否決される可能性が出てきた。
 太陽HDの創業家持株会社が東京商工リサーチ(TSR)の取材に対し、再任反対の意向を固めたことを明かした。
 すでに海外ファンドと筆頭株主が再任反対を表明しており、議決権総数の4割が反対を示したことになる。再任反対は過半数まで数%に迫ったとみられる。
 なぜこのような事態となっているのか。東京商工リサーチが迫った。



 太陽HDの2025年3月期連結決算は、売上高1,190億円(前年同期比13.6%増)、当期純利益は107億円(同24.6%増)と好調だった。佐藤社長が就任した11年4月1日~25年4月30日の14年間で株価は約4.2倍に上昇し、堅調に推移している。
 こうした太陽HDの株式を3月25日までに議決権10.5%まで取得した香港の投資ファンド・オアシスが5月7日、佐藤社長を含む取締役2名の解任を株主提案し、再任に反対票を投じることを発表した。

オアシスは以下の点などを問題視している。

 1.2017年にDIC(株)(TSRコード:291081150、東証プライム)への第三者割当増資で既存株の希薄化が生じた
 2.佐藤社長の過剰な報酬(2024年3月期の連結報酬等の総額2億8,200万円)
 3.資本効率が低いとされる医療・医薬品事業への過剰投資
 4.タイ現地法人の不祥事と不適切な対応

 オアシスは、佐藤社長が適切に経営せず、ガバナンス意識も欠き、取締役として不適格であるとして、解任の株主提案に賛成票と再任の反対票を投じることを呼びかけた。

太陽HDの入居ビル

太陽HDの入居ビル

太陽HDはオアシスの提案に反対

 解任提案を受けた太陽HDは5月16日開催の取締役会で、株主提案の議案への反対を決議した。
 佐藤社長の解任反対について、太陽HDの担当者は6月3日午前、TSRの取材に回答し、以下の通りコメントした。


 佐藤は引き続き当社の企業価値向上への主導的な役割が期待できることから、取締役としての適格性に疑義を生ずる余地はなく、株主提案議案に反対している。実際、2011年に佐藤が代表取締役に就任して以降、株価・業績ともに大きく伸長させてきた。また、2017年にDICに対して行った第三者割当増資の経緯や、タイ子会社における不祥事の経緯など、誤った事実認識に基づき主張をなされているものも多いと考えている。

株式非上場化の報道で株価高騰

 5月28日、ブルームバーグや日本経済新聞社は、太陽HDがファンドなどから買収提案を受け、非上場化を目指すと報道した。
 同日、太陽HDは「当社の発表に基づくものではない」としたが、「さまざまな選択肢の検討をしている」と発表。期待感などで株価は6月3日現在、約6,000円まで上昇している。

筆頭株主のDICが再任反対を発表

 太陽HDの担当者は6月3日午前、TSRの取材に対して「DICとのコミュニケーションに変化はない」とも回答している。ところが同日夕方、持株比率20.0%の筆頭株主で太陽HDを持分法適用関連会社とするDICは、佐藤社長の再任に反対する予定と発表した。
 DICは発表資料のなかで、太陽HDの非公開化などの各種提案に対する取締役会の検討姿勢が「中長期的な企業価値向上及び株主共同の利益最大化に向けて、必ずしも適切に機能していない」と指摘。太陽HDとの間で、資本関係のあり方について協議を開始していると資本解消の可能性に踏み込んだ。
 DICは6月3日の発表後、TSRの取材に「(太陽HDの)取締役(DIC常務執行役)の髙野聖史氏の派遣を取り止めた。(佐藤社長への)再任議案に反対することだけは決まった」と回答した。
 株主総会の決議事項として、取締役の選任(再任)は出席した株主の過半数の賛成が必要だ。持株比率10.5%のオアシスと、20.0%のDICの合計は30.5%。再任が反対されるか不透明さを増し、その他の大株主の動向に注目が集まっている。

創業家持株会社が再任反対へ

 そしてキーとなるのが、太陽HD創業家の持株会社である(株)光和(TSRコード:294379959)だ。光和の持株比率は6.3%で、創業家個人名義の株式を含めると10%に達するとみられる。6月3日、TSRの取材にして、光和の担当者は「再任反対の意向を固めた」とコメントした。
 再任反対を投じる可能性のある光和と創業家個人株主、オアシス、DICの持株比率を合わせると40%を超える。
 2024年6月の株主総会で佐藤社長の取締役再任決議は97.95%で可決された。議決権行使率は87.5%だった。今年6月21日開催予定の定時株主総会で、2024年と同じ議決権行使率と仮定すると、反対票は単純計算で45%を上回る。残り数%の反対票が行使されると再任が否決される可能性が出てくる。


態度を表明したDIC

態度を表明したDIC



 DICの再任反対の公表を受け、オアシスは6月4日、TSRの取材に応じた。「佐藤氏の再任に反対し、太陽HDにおける経営改革を目指すDICの意思決定をオアシスは歓迎する。DICによる6月3日付の発表は、太陽HDが現在抱える課題と、佐藤氏退任後の太陽HDが持つ可能性を明らかにするものだ」(オアシス)。
 個人株主など数%の動向で、社長再任の可決・否決が拮抗する可能性もある異例の株主総会は6月21日に開催される。大株主の信任を失った佐藤社長が選任されるのか、株主総会までの駆け引きも注目される。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年6月5日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

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