• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

パン屋の倒産が急減、コメ高騰でパンに注目 ~ 高級パンブームや小麦高騰の影響も一巡 ~

 コメ価格の高騰が食卓と倒産に変化を及ぼしている。高級パンブームが崩壊したことに加え、小麦粉の価格上昇でパン屋さんの倒産が増加していたが、ここにきて急激に減少していることがわかった。
 パン屋の倒産は、2025年1-4月累計が7件と、前年同期の13件から半減している。
 パンの値上げや小麦価格の一巡などが背景にあるが、昨年から高騰するコメから、家計防衛のためパン需要が盛り返した可能性もある。推計でお茶碗1杯のごはんが50円、食パン1枚が35円と、15円も安いパンのコストパフォーマンスが注目されている。


パンの安さが強みに?

 東京商工リサーチの企業データベースからパン屋の倒産(負債1,000万円以上)を調査した。地域に親しまれたパン屋は、顧客とのつながりが強くこれまで倒産は限定的だった。
 ところが高級パンブームや小麦価格の上昇で、客足が変化した。最近は、高級パンブームが始まった2019年に34件と急増。コロナ禍は、ゼロゼロ融資を始めとする支援策で小康状態を続けたが、小麦価格や電気、ガス、水道代などの物価高騰が押し寄せた2024年は、過去20年間で2番目の31件に達した。
 その後、小麦価格が落ち着き、価格転嫁も一巡した時期に、ライバルであるコメ価格が高騰して様相が一変。タイミングを合わせるようにパン屋の倒産が減少に転じている。
 2025年は4月までの累計が7件にとどまり、年間でもコロナ禍の低水準まで落ち着きそうだ。
 大手小売店の代表的な商品の店頭価格から1食あたりの金額を推計した。6枚切り食パン価格は210円で、1枚は35円となる。
 一方、コメ2キロは2,100円。お茶碗1杯を100グラムとすると、単純計算で50円。その差は食パンが15円安い。家族3人で毎朝パン、または「コメ」を食べるとパンは月3,150円に対し、「コメ」は同4,500円で、月に1,350円パンが安上がりになる計算だ。

 高級パンブームで客足が変わり、小麦価格の高騰で値上げが遅れたお店を中心に、パン屋の経営は一時、厳しい状態にあった。
 だが、値上げが一巡し、インバウンド需要の盛り上がりやコメ価格の高騰などで流れが変わり、パン屋の倒産は減少してきた。
 政府備蓄米の放出はあるが、しばらくコメ価格が元に戻ることは期待できず、パン屋のチャンスは続くとみられる。長年、安定した価格で日本の食卓の主人公だったコメの価格上昇は、食卓だけでなく、様々な場所で影響を与えることになりそうだ。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

賃金上昇、従業員退職による倒産が過去最多 8月の「人手不足」倒産 8月では最多の32件

2026年8月の「人手不足」倒産は、32件(前年同月比39.1%増)だった。8月としては、前年の23件を大幅に上回り、最多を更新した。1-8月は333件(前年同期比38.7%増)で、年間最多ペースが続く。

2

  • TSRデータインサイト

出版業の倒産急増、利益も悪化傾向 ~ 存続に向けた書店との直取引、目指す姿と課題 ~

電子書籍が普及するなか、紙の書籍を主体に手掛ける老舗出版社を中心に、「出版業」の倒産(負債1,000万円以上)が急増している。 2026年1-7月の「出版業」の倒産は21件(前年同期比90.9%増)で、2019年同期の21件以来7年ぶりに20件を超えた。

3

  • TSRデータインサイト

「フィットネスクラブ」の倒産が過去最多を更新へ 1-8月は26件、市場拡大もレッドオーシャンの兆し

拡大するフィットネス市場で、「フィットネスクラブ」の倒産が急増している。2026年1-8月は26件(前年同期比160.0%増)と前年同期の2.6倍に達し、2023年同期の16件を抜いて過去最多を更新した。 現在のペースで推移すると、2026年は年間最多の2023年の27件を上回り、40件台も視野に入ってきた。

4

  • TSRデータインサイト

泥臭い再生支援と粉飾決算、銀行員の「違和感」~ 「実務家座談会」を開催(後編)~

(後編)事業再生に携わる金融機関は企業にどう向き合うのか。東京商工リサーチ(TSR)は、事業再生に携わる金融機関の担当者に、取り組みの現状や事例、特色、留意点などを聞いた。

5

  • TSRデータインサイト

「半導体関連メーカー」生成AI普及で業績好調 売上トップはキオクシア、TSMC日本子会社は売上高約143倍

生成AIの普及やデータセンター向け需要拡大で、国内の主要半導体関連メーカーの業績が好調だ。東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(約440万社)から、全国の主な半導体関連メーカー154社の2025年度業績を分析した。

TOPへ