• TSRデータインサイト

【速報】2024年度「焼肉店」の倒産が過去最多50件 物価高と人手不足、価格競争などマイナス要因重なる

 輸入牛肉価格や光熱費の上昇、人手不足、大手チェーンの台頭など、いくつものマイナス要因が重なり焼肉店の経営が苦境に瀕している。2024年度(速報)の倒産(負債1,000万円以上)は、50件(前年比61.2%増)と大幅に増加。2008年度以降で、過去最多だった食中毒問題が起きた2012年度の33件を大幅に上回った。
 コロナ禍は高い換気能力やひとり焼肉の人気に加え、ゼロゼロ融資などの資金繰り支援にも支えられ、焼肉店は数少ない好調組だったが、ここにきて一気に苦境に立たされている。
 
 2024年度(4-3月)の「焼肉店」の倒産(負債1,000万円以上)は50件(前年度比61.2%増)で、過去最多を更新した。また、2024年(1-12月)の休廃業・解散も28件(前年比100.0%増)と倍増し、過去最多の2022年(16件)を大幅に上回った。
 焼肉店は2011年4月、北陸の「焼肉店」で大規模な食中毒が発生し、全国的に「焼肉店」離れが進行した。その煽りを受け、2012年度の倒産は33件発生し、しばらく冬の時代が続いた。
 
 その後、肉の管理徹底や衛生強化などで信頼が回復すると、食べ放題やひとり焼肉など多様なサービスが広がり、年度の倒産は20件前後に落ち着いていた。
 2020年のコロナ禍では、客足が途絶えた他の飲食店をしり目に、焼肉店は高い換気能力などが評価され人気を博した。さらに、資金繰り支援もあり、2020年度の倒産は12件に減少。2022年度まで20件を下回り、小康状態が続いた。
 
 しかし、焼肉店の人気に着目した大手レストランや居酒屋チェーンなどが「焼肉店」に参入すると、環境が激変。同時に、円安の進行で輸入牛肉の価格高騰や光熱費の上昇、人手不足などが重なり、2024年度は2008年度以降で最多を記録した。
 「焼肉店」は外国人旅行客にも人気が高い。だが、厳しい環境と熾烈な競争で、体力の乏しい小規模店の倒産が増えている。特に、大衆価格を前面に出していた焼肉店は、厳しくなっている。仕入れ価格の上昇を販売価格に転嫁すると客足に直撃する。値上げが続くと、回転率が低下し、業績悪化リスクも避けられない。一方、高級店も交際費にシビアな企業が増え、高級食材を使用した価格設定は難しくなっている。「焼肉店」は長年守ってきた肉質と味で勝負するか、付随的な商品を開拓して総合価格で勝負するのか、生き残り策の模索が始まっている。

※ 本調査は、日本産業分類(小分類)の「焼肉店」を抽出し、統計開始の2008年度から2024年度までの倒産を集計、分析した。

焼肉店の倒産推移

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【最新決算】 私立大学、半数以上が赤字に転落 売上高トップは順天堂、利益トップは帝京大学

全国の私立大学を経営する545法人のうち、半数を超える287法人が直近の2025年3月期決算で赤字だったことがわかった。  

2

  • TSRデータインサイト

2025年「介護事業者」の休廃業・解散653件 苦境の「訪問介護」が押し上げ、過去最多を更新

2025年の「介護事業者」は、倒産以外で事業を停止した「休廃業・解散」が653件(前年比6.6%増)に達し、 4年連続で最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

融資慣行に変化、「事業性融資推進法」が施行目前~ 金融庁・大城健司参事官 単独インタビュー ~

2026年5月「事業性融資の推進等に関する法律(事業性融資推進法)」がスタートする。「企業価値担保権」の導入により、企業の実力や将来性、無形資産を含む事業全体を担保にした融資が可能になる。 事業性融資を推進する背景や想定される課題を金融庁総合政策局の大城健司参事官に聞いた。

4

  • TSRデータインサイト

ジュピターコーヒーに民事再生開始決定、承継店舗が判明

1月5日に東京地裁に民事再生法の適用を申請したジュピターコーヒー(株)(TSRコード:292914610、文京区)は1月13日、同地裁から民事再生開始決定を受けた。また、スポンサーが承継予定の47店舗がわかった。

5

  • TSRデータインサイト

「不動産業」 上位4%の大手がシェア約8割 地価上昇と活発な実需・投資が追い風に

売買を主力とする主な不動産業6,090社の最新期決算(2024年7月期-2025年6月期)は、売上高が17兆3,430億円(前期比7.9%増)と好調だったことがわかった。純利益も1兆3,063億円(同6.8%増)で、純利益率7.5%と高収益を持続。7年間では売上高、利益とも最高を記録した。

TOPへ