社長の平均年齢 過去最高の63.59歳 最高齢は秋田県66.07歳、最年少は広島県62.45歳
2024年「全国社長の年齢」調査
少子高齢化が加速するなか、2024年の社長の平均年齢は63.59歳(前年63.35歳)に上昇し、調査を開始した2009年以降で最高を記録した。70代以上の社長の構成比は34.47%(同34.11%)と過去最高を記録した。事業承継の遅れが、社長の高齢化を促す構図に歯止めがかかっていない。
都道府県別の平均年齢は、秋田県が66.07歳で最も高く、最年少は広島県の62.45歳だった。
社長の年齢と業績の相関関係をみると、70代以上の「増収」企業は44.3%と最低で、30代(60.9%)とは16.6ポイントの開きがある。一方、「赤字」企業は25.9%で最悪だった。
2024年の「休廃業・解散」企業の社長年齢は、70代以上が約7割(67.9%)に達した。70代は業績悪化のピークを迎えるため、事業継承は50代までがターニングポイントになっている。
2024年の「後継者難」倒産は462件(前年比7.4%増)で、5年連続で過去最多を更新した。社長の高齢化が進み、円滑な事業承継が滞ると、生産性向上や新規事業への投資意欲が低下し、業績悪化に拍車をかける傾向にある。50代までに事業承継や準備に着手しない場合、廃業や倒産の可能性が高まるだけに、外部の支援体制の必要性も増している。
※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約400万社)から2024年12月時点の代表者の年齢データを抽出、分析した。前回の調査は2024年2月。「社長」は、代表取締役社長のほか、個人事業主や理事長などを含む。
年齢分布 70代以上が3分の1を占める
2024年の社長の年齢は、70代以上が34.4%(前年34.1%)で、全年代で最も高い。60代と50代も前年より上昇し、高齢化が加速している。
社長の高齢化に伴い業績が鈍化
社長の年代別の業績では、「増収」は30代以下が60.9%で最も高く、60代は49.9%、70代以上は44.3%と50%を割り込んだ。社長の高齢化と業績には相関関係がみられた。
収益面は、70代以上は「赤字」や「連続赤字」の構成比が他の年代より高く、社長が高齢なほど、収益力を欠いた傾向をみせる。
「休廃業・解散」の社長年齢 70代以上が約7割
2024年に「休廃業・解散」した企業は過去最多の6万2,695件を記録した。
社長の平均年齢は72.61歳(前年72.00歳)で2020年以降、5年連続で70代を超えた。
生存する企業の社長の平均年齢63.59歳との差は9.02歳で、前年(8.65歳)から年齢差が広がった。
「休廃業・解散」企業の社長の年齢別分布は、70代以上が67.9%(前年66.6%)で、約7割を占める。2021年(62.7%)以降、4年連続で60%を超えた。
一方、70代未満では、60代19.6%(前年20.3%)をはじめ、すべてのレンジで前年より低下している。
産業別 平均年齢の最高は不動産業の65.38歳
産業別の平均年齢は、最高が不動産業の65.38歳(前年65.14歳)で唯一、60代後半となった。以下、小売業64.49歳(同64.23歳)、卸売業64.38歳(同64.16歳)、製造業63.71歳(同63.56歳)、建設業63.68歳(同63.29歳)、農・林・漁・鉱業63.20歳(同63.10歳)、サービス業他62.79歳(同62.62歳)、運輸業62.38歳(同62.16歳)、金融・保険業61.67歳(同61.48歳)が続く。
社長の平均年齢の最低は情報通信業の57.88歳(同57.94歳)で、唯一、60歳を下回った。また、スタートアップ企業が多く、10産業のなかで唯一、前年より低下した。
平均年齢が最高の不動産業は、70代以上の構成比が41.5%で唯一、40%を超えている。一方、平均年齢が最低の情報通信業は、30代以下(6.9%)と40代(18.9%)の構成比が10産業で最も高く、70代以上は17.8%と唯一、20%を下回る。
業種別 平均年齢が高いのは学校教育やアパレル小売、低いのはインターネット関連業種
業種別の平均年齢は、最高が幼稚園から大学、専修学校まで含む「学校教育」の68.18歳(前年68.04歳)。次いで、「織物・衣服・身の回り品小売業」68.00歳(同67.69歳)、農協や漁協などの「協同組合」67.73歳(同67.64歳)が続く。
一方、最も平均年齢が低かったのは、「インターネット附随サービス業」の49.14歳(同48.63歳)で、唯一の40代だった。次いで、インターネット通販を含む「無店舗小売業」54.68歳(同54.56歳)が続き、インターネットを活用した業種で若手経営者が多い。
年代別では、70代以上の社長が占める割合は、「織物・衣服・身の回り品小売業」が49.8%で最も高く、「学校教育」が49.74%で続く。これら2業種は、経営者のほぼ半数を70代以上が占めている。
60代では、「協同組織金融業」63.4%、「銀行業」62.9% 「鉄道業」57.1%、「放送業」49.7%、「ガス業」45.7%で構成比が高い。金融やインフラが上位に固まっている。
一方、30代以下と40代では、平均年齢が低い「インターネット附随サービス業」や「無店舗小売業」、「通信業」の順で多く、上位3業種は同じ顔ぶれだ。このほか、40代では開業のハードルが低い「持ち帰り・配達飲食サービス業」や「飲食店」でも構成比が高い。
都道府県別 平均年齢の最高齢は秋田県の66.07歳、最年少は広島県の62.45歳
都道府県別では、社長の平均年齢の最高は秋田県の66.07歳。前年の65.74歳から0.33歳上昇し、唯一、66歳を超えて4年連続最高齢となった。
以下、高知県65.70歳(前年65.36歳)、長崎県65.13歳(同64.80歳)、富山県64.91歳(同64.64歳)が続き、4位までの順位は前年と同じ。5位は前年6位だった山形県64.84歳(同64.59歳)が浮上した。
一方、最年少は広島県の62.45歳(同62.19歳)で、前年最年少の大阪府62.53歳(同62.18歳)と入れ替わった。
総務省統計局が作成した人口推計(2023年10月1日現在)に基づき、算出した「65歳以上人口比率」は、社長の平均年齢が高い秋田県が39.05%で全国1位、高知県は36.28%で同2位と高い。
一方、平均年齢が低い広島県は30.13%で同35位、大阪府は27.66%で同41位と低く、社長の平均年齢と年齢別の人口構成は相関関係がみられる。