• TSRデータインサイト

日米トップの交代 企業がリーダーに求めるもの=2024年を振り返って(8)

 2024年は選挙イヤーだった。9月に立憲民主党の代表選挙、自民党の総裁選が実施された。これに先立ちTSRは企業アンケートを実施し、日本経済・ビジネスの発展に寄与すると思う候補者とその理由を聞いた。立憲民主党では、トップは野田佳彦氏で36.3%。次いで、枝野幸男氏の4.9%だった。その後の代表選では、野田佳彦氏が当選した。

 自民党の総裁選では、過去最多の9名が総裁選に立候補した。アンケート結果は、高市早苗氏が24.4%でトップだった。次いで、石破茂氏の16.9%、小泉進次郎氏の8.3%と続いた。総裁選は、決選投票で石破氏が勝利し、第102代内閣総理大臣に任命された。


日本経済・貴社ビジネスの発展に寄与すると思うのは誰ですか?

日本経済・貴社ビジネスの発展に寄与すると思うのは誰ですか?
 

 総裁選後、TSRは企業がどのような経済政策を期待しているかアンケートを実施した。それによると、トップは「内需拡大の推進」で 46.1%。次いで、「物価の安定」35.3 %、「人手不足への対応」 29.8%の順で、多くの企業が直面する経営課題への打開策を求めていることがわかった。

 10月には、米国大統領選のアンケート調査を実施した。自社にとってトランプ氏、ハリス氏のどちらが経営にプラスか尋ねた。その結果、ハリス候補が43.5%、トランプ氏15.0%と、ハリス氏が大きく上回った。結果は、トランプ氏がすべての激戦州を制し、大統領に返り咲いた。トランプ氏は、全輸入品に対する一律10%の関税の実施、対中関税の引き上げに意欲を示し、日米の為替にも影響を与えている。


どちらの候補が当選した方が貴社の経営にプラスに働くと思いますか?

どちらの候補が当選した方が貴社の経営にプラスに働くと思いますか?

 

 TSRは合計3つの選挙で企業アンケート調査を実施した。そして、アンケート結果と実際の当選が一致したのは野田氏だけだった。国が抱える課題は、経営や経済対策以外にも多岐にわたる。企業が選ぶ政治家と、投票する人の想いは必ずしも一致しないということだろう。
 企業活動を後押しする政策が、果実となって多くの国民が享受する。そうした社会構造より、直接的な恩恵を求める声が増えているのかもしれない。社会が多層化するなか、企業と政治との距離感も変わりつつあるようだ。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ