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“巳年”設立の法人 全国で26万9,955社 最古は1881年設立の太平洋セメント(株)

2025年“巳年”設立の法人調査


 2025年の干支は“巳(み)”。全国で巳年に設立された法人は、十二支で最も少ない26万9,955社で、全国の法人約370万社の7.2%だった。
 巳年設立の法人の最古は、1881(明治14)年設立でセメント製造の太平洋セメント(東京)。次いで、1893年設立で機械工具販売のヤマス(北海道)、食品関連事業の神栄(兵庫)、鋼索鋼線関連の東京製綱(東京)、種苗販売の横浜植木(神奈川)など、6社だった。100年超の1917(大正6)年以前の設立は178社で、巳年設立の法人のわずか0.06%にとどまる。

 産業別では、最多がサービス業他の9万5,102社(構成比35.2%)で、2位の建設業(3万9,744社)の約2.4倍と突出している。
 都道府県別では、最多が東京都の5万9,857社(構成比22.1%)。一方、最少は鳥取県の955社。
 各都道府県の法人に占める巳年設立の法人の割合では、島根県が9.19%で最高だった。
 上場企業4,054社のうち、巳年設立は302社(同7.4%)で、十二支では酉年(7.0%、284社)に次いで2番目に構成比が低かった。

 2024年は、乱高下する為替相場で物価高が定着し、原材料やエネルギー価格の高騰に加え、人件費上昇などで中小企業には厳しい1年だった。2025年は645年の「大化の改新」から1380年。115回目を迎える巳年は苦難を乗り越え、新たな成長に繋がる1年になるか注目される。

※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(2024年10月26日時点)から、個人企業、倒産や休廃業・解散した企業などを除いた約370万社を対象に、巳年に設立された法人を抽出し、分析した。
※設立年月は、商業登記簿に基づく。 


業歴100年以上は178社、全体の0.06%

 巳年に設立された法人は全国で26万9,955社で、十二支では最も少なく、約370万社の法人のうちの7.2%にとどまる。
 巳年の法人設立を12年ごとにみると、最多は2013(平成25)年の8万8,592社(構成比32.8%)。次いで、1989(平成1)年の6万940社、2001(平成13)年の5万2,536社と続く。
 平成以降の巳年に設立した企業数は、合計20万2,068社を数え、巳年全体の74.8%を占める。
 また、100年超となる1917年以前の設立法人は、178社(構成比0.06%)だった。

年別巳(み)年 設立法人

【産業別】サービス業他が3割を占める

 巳年設立の企業を産業別でみると、最多がサービス業他の9万5,102社(構成比35.2%)だった。サービス業他では、2013年設立が3万8,166社と40.1%を占めた。
 次いで、建設業3万9,744社(同14.7%)、製造業2万8,910社(同10.7%)、小売業2万7,772社(同10.2%)、不動産業2万6,765社(同9.9%)、卸売業2万3,633社(同8.7%)と続く。
 業種別では、最多が食堂,レストランの7,438社。次いで、寺院,仏教教会6,743社、経営コンサルタント業6,605社、土地売買業6,417社など、6業種が5,000社以上だった。


 産業別 巳(み)年 設立法人


 2025年は「乙巳(きのとみ)」で、これまでの努力や準備が実を結び始める時期といわれる。
 2020年に広がったコロナ禍でも企業は、劇的な業績悪化にも耐え、その後の円安による物価高も乗り越え、新たな巳年を迎える。
 コロナ禍で日本経済は大きな転換期を経験した。世界の景気をけん引する経済力を復活できるか、内憂外患を一掃できるか。新年の巳年は結果を問われる1年になる。
 巳年に設立された法人は、上場企業にも中小企業にも有力な企業が控えている。脱皮を繰り返す蛇のように大胆なチャレンジ精神で、すそ野を広げて景気を引っ張ることが期待される。

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