• TSRデータインサイト

2024年10月の「負債1,000万円未満」倒産48件 7カ月連続で前年同月を上回る 年間では4年ぶりに500件超か

2024年10月「負債1,000万円未満」倒産状況


 2024年10月の負債1,000万円未満の倒産は48件(前年同月比2.1%増)で、7カ月連続で前年同月を上回った。コロナ禍の支援策が縮小・終了する一方、借入返済や物価高、人件費などのコスト上昇が小・零細企業の資金繰りに打撃を与えている。2024年1-10月の累計は463件(前年同期比17.5%)に達し、年間では、2020年の630件以来、4年ぶりに500件を超えることがほぼ確実になった。

 産業別は、最多がサービス業他の22件(前年同月比21.4%減)で、4割超(構成比45.8%)を占めた。以下、建設業が10件(前年同月比150.0%増)、小売業が5件(同66.6%増)の順。
 形態別は、破産が47件と特別清算が1件で、すべて消滅型の倒産だった。
 原因別は、最多は「販売不振」の32件(前年同月比5.8%減)で、6割超(構成比66.6%)を占める一方で、「事業上の失敗」が7件(前年同月比75.0%増)と急増し、経営計画の甘さに起因した倒産の増加が目立った。

 負債1,000万円未満で倒産した企業は、小・零細企業が大半で資金的・人的制約が大きく、自力での経営再建や事業再生への取り組みが難しい。経営状況の悪化から税金や社会保険料を滞納する企業も増加している。日本年金機構が個人企業に近い小・零細企業への滞納に対しても徴収に動き、取引照会が増えているとの指摘もある。コロナ禍の資金繰り支援の終了後、金融機関は資金支援から事業再生に軸足を移しており、自立が難しい小・零細企業には廃業支援を含めた寄り添った対応が急がれる。

※本調査は、2024年10月に全国で発生した企業倒産(法的、私的)のうち、企業倒産集計(負債1,000万円以上)に含まれない負債1,000万円未満の倒産を集計、分析した。


負債1,000万円未満の倒産 件数推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ