• TSRデータインサイト

2024年8月の「円安」関連倒産 6件 1-8月54件、2023年1年間を超える

2024年8月 「円安」関連倒産(8月30日現在)


 2024年8月の「円安」関連倒産は6件(前年同月比100.0%増)で、前年同月の2倍に増加した。1-8月の累計は54件に達し、8月で前年1年間の52件を上回った。
 8月の負債総額は44億5,400万円(同374.3%増)と大幅に増加し、2カ月連続で10億円を超えた。

 8月の「円安」関連倒産の産業別は、最多が卸売業3件(前年同月ゼロ)、次いで、製造業2件(同1件)、運輸業1件(同ゼロ)の順。円安で原材料や資材の輸入コストが上昇し、燃料価格も高止まりが続くなか、企業収益に大きな負担となっている。

 7月3日に一時、1ドル=161円94銭をつけたドル・円レートは、政府・日銀による為替介入や政策金利の引き上げ決定などで、8月5日には一時、1ドル=141円69銭まで円高が進んだ。その後も一進一退を続けながらも円高傾向をたどり、8月後半は1ドル=144円前後で推移している。

 これまでの円安で輸入原材料の価格上昇が物価高を招き、中小・零細企業は採算確保に苦慮している。1ドル=144円前後で一時期に比べ円安は緩和されたが、原材料や商品価格の値下げには時間を要するだけに、経営体力がぜい弱な中小・零細企業を中心にした「円安」関連倒産は当面続くとみられる。

円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ