• TSRデータインサイト

上半期の「学習塾」の倒産 過去最多の26件 少子化のなか新規参入が相次ぎ、競争が激化

2024年上半期(1-6月)「学習塾」倒産の状況


 2024年上半期(1-6月)の「学習塾」倒産は26件(前年同期比18.1%増)で、2000年以降の上半期では2012年の23件を超え、過去最多を記録した。

 6月28日、学習塾運営の(株)個別指導塾スタンダード(TSR企業コード:870629107、福岡市博多区)が、福岡地裁に民事再生法の適用を申請した。個別指導塾スタンダードの負債は約83億2,400万円にのぼり、2000年以降の学習塾の倒産では最大規模となった。これまで学習塾の倒産は中小企業が中心だったが、大手塾にも広がってきた。

 少子化が言われて久しいが、2023年の学習塾市場は休廃業・解散が113社に対し、新設法人は519社と大幅に新規参入が上回っている。学習塾の形態は、集団指導塾、個別指導塾、コロナ禍で広がったオンライン塾など多様化し、それぞれ特徴を打ち出している。
 学習塾は小資本でも創業出来る一方、顧客ニーズに合ったスタイルを求められている。また、最近はネット上に無料の学習コンテンツが多数アップされ、生徒獲得の競争相手が増えている。
 同時に、成績アップや合格実績など、目に見える結果も問われる。保護者に注目される実績をあげる人材獲得への投資も嵩むが、教育費を負担する保護者の厳しい選択に応えることも必要だ。  
 過当競争が続く学習塾市場は、生き残りをかけた競争が繰り広げられ淘汰の波が高まっている。

※本調査は、日本産業分類の「学習塾」の倒産(負債1,000万円以上)を集計、分析した。


学習塾の倒産 上半期(1-6月)推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

長渕剛さんの個人事務所、イベント会社に破産申立

歌手の長渕剛さんが代表を務める(株)オフィスレン(TSRコード:295731311、渋谷区)が、イベント運営を委託していた会社を相手取り、東京地裁に破産を申し立てたことが東京商工リサーチ(TSR)の取材で判明した。

2

  • TSRデータインサイト

みんなで大家さん、分配金の支払いが遅延

7月31日、不動産投資商品を販売するみんなで大家さん販売(株)(TSRコード:571226140)は、不動産投資商品「みんなで大家さん成田1号~18号(全18商品)」について、7月末の利益分配(分配金)が遅れると投資家に通知した。

3

  • TSRデータインサイト

ホテル業界 止まらない客室単価の値上げ インバウンド需要で高稼働・高単価が続く

インバウンド(訪日旅行客)需要に支えられ、ホテル業界は好調が続いている。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の2025年3月期の客室単価は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に前年同期を上回り、稼働率も前年同期並で高水準を維持している。

4

  • TSRデータインサイト

私立大学の経営、売上トップは(学)順天堂 赤字企業率5割に迫る、損益は地域格差が鮮明に

私立大学を経営する全国の543法人のうち、約半数の253法人が2024年決算で赤字だった。赤字企業率は46.5%にのぼり、前期(40.8%)から5.7ポイント上昇し、5割に迫った。

5

  • TSRデータインサイト

2025年上半期 20床以上の病院倒産が急増 「病院・クリニック」倒産21件、5年連続で前年同期を上回る

病床20床以上の病院の経営が厳しさを増している。2025年上半期(1-6月)の病院・クリニックの倒産は21件(前年同期比16.6%増)だった。上半期では、コロナ禍の2020年を底に、2021年から5年連続で前年同期を上回り、1989年以降で最多の2009年同期の26件に次ぐ、2番目となった。

TOPへ