• TSRデータインサイト

SDGsの取り組み 7割の企業が「前向き」 企業規模で目標設定に差、イメージアップ目的も

~ SDGsに関するアンケート調査 ~


 2015年に国連加盟国が採択したSDGs(持続可能な開発目標)について、重要性を認識している企業が7割に達することがわかった。一方、SDGsの取り組みを重要と思わない企業は1割未満にとどまり、認知度は広がっている。 取り組む意義については、「企業イメージの向上」が7割を超え、ブランディング戦略の一環としてとらえている企業も少なくない。

 東京商工リサーチは、6月3日~10日に企業を対象にSDGsの取り組み状況についてアンケート調査を実施した。「SDGsの重要性を理解し、現在取り組んでいる」と回答した企業は40.8%で、「重要性を理解しており、現在取り組んでおらず今後取り組みたい」と回答した29.2%を合わせ、全体の70.1%がSDGsの重要性を認識している。

 SDGsに取り組む意義は、「企業イメージの向上」をあげた企業が7割を占めた。環境、社会、経済の3つの側面を目標に取り込むが、ブランディング戦略の一環として取り組む企業が多い。また、人材不足や費用負担などで格差も生じており、目標達成への課題も浮き彫りになっている。

 政府は2023年12月19日、SDGs実施指針を4年ぶりに改訂した。国際社会全体が複合的危機に直面するが、2030年までにSDGsの達成を目指す方向性に変化はないとした。2030年に向けてSDGsの取り組みが加速していくが、同時に企業の社会的責任も重みを増している。

※ 本調査は、2024年6月3日~10日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答4,963社を集計・分析した。
※ 資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。


Q1.SDGs(持続可能な開発目標)について伺います。貴社のSDGsの取り組み状況は以下のどれですか?(択一回答)

◇SDGsへの取り組みは大企業が中小企業を25.9ポイント上回る
 SDGsの「重要性を理解しており、現在取り組んでいる」と回答した企業は、全企業の40.8%(4,963社中、2,029社)を占めた。「重要性を理解しており、現在取り組んでおらず今後取り組みたいと思っている」は29.2%(1,451社)で、合計70.1%(3,480社)の企業が前向きにとらえている。
 一方、「重要性を理解しているが現在取り組んでおらず、取り組む予定もない」と回答した企業は21.4%(1,063社)、「重要とは思わない」と回答した企業は8.4%(420社)にとどまった。
 規模別では、SDGsに対して「現在取り組んでいる」と回答した企業は、大企業が64.0%(518社中、332社)に対し、中小企業は38.1%(4,445社中、1,697社)で、25.9ポイントの差があった。
 次いで、「今後取り組みたい」と回答した企業は、大企業が23.5%(122社)に対し、中小企業は29.9%(1,329社)だった。大企業ほどSDGsへの取り組みは積極的で、経営資源や業績の差が影響しているとみられる。

SDGsへの取り組みは大企業が中小企業を25.9ポイント上回る

産業別 取り組みは金融・保険業が62.2%でトップ

 Q1のSDGsの取り組み状況を産業別で分析した。
 SDGsに「取り組んでいる」との回答が最も高かったのは、金融・保険業の62.2%(45社中、28社)だった。次いで農・林・漁・鉱業の47.3%(38社中、18社)、製造業の45.8%(1,444社中、662社)が続く。
 金融や保険業ではSDGs債の発行など、他業種よりもビジネスにつながっているほか、企業イメージのアップが影響しているようだ。一方、「取り組む予定はない」との回答が最も高かったのは情報通信業で25.9%(277社中、72社)だった。次いで、不動産業の25.4%(114社中、29社)、卸売業の23.6%(1,131社中、268社)が続く。

産業別 SDGs意識
 

Q2. SDGsの17目標のうち、現在力を入れている(力を入れようとしている)項目は何ですか?(複数回答)

◇目標8.「働きがいも経済成長も」が最多に
 SDGsの17目標のうち、回答が最も多かったのは、8.「働きがいも経済成長も」で54.0%(3,457社中、1,867社)と半数を超えた。次いで、12.「つくる責任、つかう責任」が42.6%(1,474社)、7.「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」が38.8%(1,344社)と続く。上位は企業活動との親和性が比較的高い項目が並んだ。
 規模別では、13.「気候変動に具体的な対策を」は大企業が35.7%(450社中、161社)に対して、中小企業が25.9%(3,007社中、780社)で9.8ポイントの差がついた。また、7.「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」も大企業が46.6%(210社)に対し、中小企業は37.7%(1,134社)で、大企業が8.9ポイント上回り、スケールの大きい項目では大企業と中小企業の意識に差が開いた。


Q3.SDGsに取り組む意義は何ですか?(複数回答)

◇企業イメージの向上が71.9%でトップに
 SDGsに取り組む意義について、最多は「企業イメージの向上」の71.9%(3,331社中、2,398社)だった。次いで、「従業員のモチベーションの向上」が51.7%(1,724社)、経営方針の明確化45.8%(1,527社)と続く。
 規模別では、「採用活動におけるプラスの効果」が大企業の39.6%(431社中、171社)に対し、中小企業は26.3%(2,900社中、765社)にとどまり、大企業が中小企業を13.3ポイント上回った。SDGsの取り組みのアピールで、企業イメージを向上させて人材確保につなげたい意図も見える。
 一方、「補助金や助成金の採択増加」は、大企業が4.1%(18社)、中小企業が11.0%(320社)だった。また、「金融機関からの融資の際の優遇や債券の発行支援」は大企業5.5%(24社)、中小企業7.7%(226社)で、それぞれ中小企業が大企業を上回った。大企業は人材確保への期待、中小企業は金融面の支援への期待が強く、規模により特徴が出た格好だ。

企業イメージの向上が71.9%でトップに

Q4.SDGsに取り組む予定がない理由は何ですか?(複数回答)

◇取り組みを阻む要因、最多は「取り組むための人材がいない」
 Q1で「重要性を理解しているが、現在取り組んでおらず取り組む予定もない」と回答した企業のうち、969社から回答を得た。
 最多は「取り組むための人材がいない」の47.4%(460社)だった。以下、「売上拡大につながらない」44.5%(432社)、「取り組むための知見がない」39.7%(385社)と続く。
 規模別では、「取り組むための知見がない」が大企業の28.8%(45社中、13社)に対し、中小企業40.2%(924社中、372社)。「売上拡大につながらない」が大企業の37.7%(17社)に対し、中小企業44.9%(415社)。それぞれ中小企業が大企業を上回り、取り組み推進への知見や業績に与える効果の不透明感などが課題となっていることが浮き彫りになった。

取り組みを阻む要因、最多は「取り組むための人材がいない」

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2024年1-6月「負債1,000万円未満」倒産 261件 2010年以降で3番目の高水準「破産」が約98%

2024年上半期(1‐6月)の全国企業倒産(負債1,000万円以上)は4,931件で、年間1万件を超えるペースで増勢をたどっている。また、負債1,000万円未満の小規模倒産も261件(前年同期比6.9%増)で、2010年以降では3番目の高水準となった。

2

  • TSRデータインサイト

2024年上半期「バー」「キャバクラ」等の倒産47件 過去10年で最多、コロナ禍と物価高で変わる夜の街

コロナ禍が落ち着き、街にはインバウンド需要で外国人観光客が増え、人出が戻ってきた。だが、通い慣れたお店のドアは馴染み客には重いようだ。2024年上半期(1-6月)の「バー,キャバレー,ナイトクラブ」の倒産は、過去10年間で最多の47件(前年同期比161.1%増)に急増した。

3

  • TSRデータインサイト

上半期の「飲食業倒産」、過去最多の493件 淘汰が加速し、「バー・キャバレー」「すし店」は2倍に

飲食業の倒産が増勢を強めている。2024年上半期(1-6月)の飲食業倒産(負債1,000万円以上)は493件(前年同期比16.2%増、前年同期424件)で、2年連続で過去最多を更新した。現在のペースで推移すると、年間では初めて1,000件超えとなる可能性も出てきた。

4

  • TSRデータインサイト

2023年の「個人情報漏えい・紛失事故」が年間最多 件数175件、流出・紛失情報も最多の4,090万人分

2023年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故は、175件(前年比6.0%増)だった。漏えいした個人情報は前年(592万7,057人分)の約7倍の4,090万8,718人分(同590.2%増)と大幅に増えた。社数は147社で、前年から3社減少し、過去2番目だった。

5

  • TSRデータインサイト

「想定為替レート」 平均は1ドル=143.5円 3期連続で最安値を更新

株式上場する主要メーカー109社の2024年度決算(2025年3月期)の期首の対ドル想定為替レートは、1ドル=145円が54社(構成比49.5%)と約半数にのぼることがわかった。 平均値は1ドル=143.5円で、前期から14.5円の円安設定だった。期首レートでは2023年3月期決算から3期連続で最安値を更新した。

TOPへ