• TSRデータインサイト

5月の「円安」関連倒産 月間最多の12件 今回の円安で初の10件超、卸売業が5件

【5月速報】 「円安」関連倒産(5月31日現在)


 政府・日本銀行が4月~5月に総額9兆7,885億円の過去最大の為替介入を実施したが、依然として円安基調が続いている。2024年5月の「円安」関連倒産は12件(前年同月比33.3%増)だった。月10件超の倒産は、円安が強まった2020年以降、初めて。長引く円安による物価高が企業活動への影響を深めている。
 負債総額は67億2,100万円(同96.2%減)で、8カ月ぶりに50億円を超えた。
 4月29日午前、34年ぶりに1ドル=160円台に一時的に乗せた。その後、為替相場は為替介入の実施もあり乱高下が続き、6月も157円台後半で始まった。

 2024年5月の「円安」関連倒産は、産業別では卸売業が5件(前年同月5件)と最も多く、以下、小売業が3件(同2件)、運輸業2件と続く。
 円安が続く一方、経済活動は活発で売上増加に伴う仕入増から資金需要が活発になっている。ただ、原材料価格の上昇に対し、上昇分の価格転嫁が難しい中小・零細企業ほど収益が悪化し、新たな資金調達も難しく資金繰り悪化に拍車を掛けている。

 円安に加え、エネルギー価格や人件費などのコストアップも吸収できないなかで、経営体力がぜい弱な中小・零細企業の淘汰が進んでおり、倒産を押し上げている。


円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2024年度上半期の「粉飾決算」倒産 11件 再生支援を求めて「粉飾告白」が急増

赤字決算を黒字に偽ったり、売上の過大な水増しや資金の不正流出などを隠ぺいする「粉飾決算」の発覚による倒産が急増している。特に、コロナ禍の業績悪化を隠ぺいして事業再生を目指す企業で目立ち、2024年度上半期(4-9月)は11件(前年同期比120.0%増)と、前年度同期の2.2倍に増えた。

2

  • TSRデータインサイト

中国の日本人駐在員、8割超の企業が「注意喚起」 企業の約3%、大企業の14%が日本人従業員を駐在

9月、中国・深センで日本人学校に通う男児が襲われ、死亡した事件が日本企業に波紋を広げている。東京商工リサーチ(TSR)が10月上旬に実施した企業向けアンケート調査で、企業の約3%が中国に日本人従業員を駐在させており、そのうちの8割超が駐在員に注意喚起したと回答した。

3

  • TSRデータインサイト

新総裁に期待する経済政策トップは 「内需拡大の推進」  企業の受け止め 「期待していない」6割、「期待する」4割

新総裁への期待度は、最多が「あまり期待していない」の38.5%、「全く期待していない」20.4%を合わせた「期待していない」は59.0%と約6割に達した。期待する経済政策では「内需拡大の推進」が46.1%を占め、「法人税の引き下げ」は大企業13.1%、中小企業23.3%と規模による格差が大きかった

4

  • TSRデータインサイト

上場企業の「早期退職」募集 46社 人数は前年同期の約4倍 複数回募集が増加、対象年齢は30歳以上など引き下げ傾向

2024年1-9月に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は46社(前年同期30社)で、前年同期の1.5倍に達し、すでに2023年年間(1-12月)の41社を超えた。対象人員も、8,204人(同2,066人)と前年同期の約4倍と大幅に増加、上場企業の「早期退職」の募集が加速している。

5

  • TSRデータインサイト

2024年1-9月のラーメン店倒産 47件で年間最多を更新中 スープ味は「醤油・中華」27.6%、「とんこつ」21.2%で大差なし

2024年1-9月のラーメン店の倒産が47件(前年同期比42.4%増)に達し、集計を開始して以降で年間最多の2023年(1-12月)の45件を抜いた。

TOPへ