• TSRデータインサイト

道路貨物運送業の倒産、年間件数は過去10年で「最多」の可能性 1-11月累計287件

 2023年1-11月の道路貨物運送業の倒産は、件数が287件(前年同期比31.6%増、前年同期218件)と急増し、3年連続で前年同期を上回った。年間件数は2014年以来、9年ぶりに300件台に乗せる可能性が高い。
 負債総額は、498億9,300万円(前年同期比43.3%増、前年同期348億1,200万円)と、2年連続で前年同期を上回った。10億円以上の大型倒産は3件(前年同期4件)と減少したが、1億円以上5億円未満が104件(前年同期比42.4%増、前年同期73件)、負債5億円以上10億円未満が15件(同66.6%増、同9件)と中堅規模の倒産が増加し、負債総額を押し上げた。

 燃料費の高騰などによる「物価高」倒産は107件(前年同期比75.4%増)で、前年同期の1.7倍に増加。資源エネルギー庁が発表する軽油価格は、2023年11月末時点で1リットルあたり153.7円。160円台を推移していた8-9月からは下落したが、燃料費は依然として高止まりの状況が続く。「物価高」倒産は、6月から6カ月連続で10件以上と、高水準で推移している。

 運送需要が高まる年末を迎えるなか、ドライバー不足も深刻化している。「人手不足」関連倒産は、38件(同123.5%増)と前年から2.2倍に急増した。「求人難」が16件(前年同期5件)、人件費高騰が12件(同1件)と大幅に増加しており、深刻な人手不足と人手確保のための人件費上昇が経営の大きな負担となっている。

 燃料費や人件費の高騰分を吸収しきれず、採算性が悪化した企業を中心に今後も倒産が増加するとみられる。年間件数では、2014年以降の10年間で最多の2014年(310件)を超える可能性が高い。


道路貨物運送業の倒産 年間(1-12月)推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ