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複数企業の代表兼任は約4万5,000人 兼任企業は6.7%、兼任最多は43社

~ 2023年「代表者兼任企業」動向調査 ~


 TSR企業データベースで業績動向を確認できる「アクティブ企業」約156万社のうち、複数の企業の代表を兼任する代表は4万5,804人に及ぶことがわかった。兼任する企業は10万5,898社(構成比6.7%)で、平均2.3社を兼任している。また、最も多く兼任している代表(個人)は43社だった。ただ、兼任企業数の上位は投資資産の管理目的に設立された企業の兼任が多く、事業実態が確認できる企業の兼任では29社が最多だった。

 産業別組み合わせは、トップが製造業と卸売業で3,020人。グループ企業で製造部門と販売部門を分けて兼任するケースが多い。組み合わせ上位15ペアでは、サービス業他が7ペアで他産業との親和性が最も高いようだ。一方で、最も少ない組み合わせは、農・林・漁・鉱業と情報通信業の16人、次いで、農・林・漁・鉱業と金融・保険業の27人だった。
 業種中分類別では、最多は総合工事業と不動産取引業で代表兼任は889人だった。産業別で最多の製造業と卸売業の組み合わせでは、食料品製造と飲食料品卸売が511人で5位。製造業の業種が品目別で細かく分かれるため、業種中分類別では上位へのランクインは少なかった。
 1社あたりの売上高は「兼任」が43.4億円、「兼任なし」が17.1億円、1社あたりの最終利益は「兼任」が2.8億円、「兼任なし」が1.0億円で、売上高・最終利益ともに「兼任」企業が「兼任なし」企業を2.5倍以上上回った。「兼任」企業は、事業拡大で分社化したケースが多く、単一企業と比べグループでのシナジー効果が発揮され、売上高や利益の増大に寄与しているようだ。

 代表者が複数企業の代表を兼任することは、グループ化によるシナジー効果のメリットが大きくなりやすい。ただ、その一方で、利益相反やグループ内のコーポレートガバナンスが効きにくくなるデメリットも併せ持つため、厳格な内部管理体制の構築が不可欠となる。事業拡大や経営の多角化、M&Aなどでグループ化を進める企業は増える傾向にあり、こういった動きとともに代表者兼任企業数も増加をたどるか今後の動きが注目される。

※ 本調査は、TSR企業データベースに登録され、最近の企業業績、役員構成などが判明する「アクティブ企業」(約156万社)を対象に抽出、分析した。
※ 代表者は、代表者氏名、住所など4項目が同じ内容で登録された代表者を同一と定義し、兼任企業数、代表者数を集計した。代表者氏名が同一でも、最低限住所が判明しない場合は、同一人物と判別ができないため「不明」とした。今回が初の調査となる。




複数企業の代表兼任者は4万5,804人

 企業業績や動向が判明しているアクティブ企業のうち、複数企業の代表を兼任している代表者数は、4万5,804人だった。
 「兼任」企業数は10万5,898社で、構成比は6.7%だった。1人が兼任する企業数は平均2.3社だった。

 産業別の代表者兼任企業数は、最多がサービス業他の3万3,574社(構成比7.3%)。次いで、製造業が1万4,241社(同8.4%)、卸売業が1万2,774社(同9.2%)と続く。
 産業別の兼任企業数の構成比は、最大が金融・保険業の17.5%。企業数は2,612社と2番目に少ないが、投資用の資産管理目的で複数社の代表を兼任するケースが多く、構成比は10産業で唯一15%を超えた。
 次いで、運輸業が13.5%(5,964社)、不動産業が11.0%(1万2,318社)で、3産業が10%を上回った。

上:代表者兼任有無別 企業数・代表者数 下:産業別 代表者兼任企業数

産業別 製造業と卸売業の組み合わせがトップ

 代表者が複数企業を兼任する10万5,898社を対象に、産業別で代表者が兼任する組み合わせを算出した(同一産業の組み合わせは除く)。
 組み合わせ1位は、製造業と卸売業で3,020人と唯一3,000人を超えた。グループ企業で製造部門と販売部門を分け、それぞれで売上やコストを効率的に管理しているケースが多いとみられる。
 2位~6位は、サービス業他との組み合わせが占める。飲食店や娯楽施設、ホテルを兼業するケースや、持ち株会社とその傘下企業の代表を兼任するケースが多くみられた。
 また、不動産ではビルメンテナンス業、建設業や製造業では産業機器賃貸など、それぞれの主力企業に関連したサービス業種と兼任するケースも多い。

 組み合わせ上位15ペアでは、サービス業他が7ペアと最も組み合わせ数が多かった。次いで、卸売業と不動産業が各5ペア、製造業と小売業が各4ペアで続く。代表者兼任企業数の少ない農・林・漁・鉱業と金融・保険業は、組み合わせ上位15ペアには見られなかった。
 最も少ない組み合わせは、農・林・漁・鉱業と情報通信業の16人、次いで農・林・漁・鉱業と金融・保険業の27人だった。

代表兼任者 産業別組み合わせ

業種別 総合工事業と不動産業2業種の組み合わせが上位3位を占める

 業種中分類別の組み合わせでは、最多は総合工事業と不動産取引業で、代表兼任は889人だった。次いで、不動産取引業と不動産賃貸業・管理業の842人、総合工事業と不動産賃貸業・管理業が683人と続き、総合工事業と不動産業および不動産業同士の組み合わせが上位3位を占めた。
 4位は、医療業と社会保険・社会福祉・介護事業の組み合わせで代表兼任者数が522人だった。病院と老人福祉事業を兼任するケースが多くみられる。
 産業別で最多だった製造業と卸売業の組み合わせでは、5位の食料品製造業と飲食料品卸売業が511人で最多、次いで10位の窯業・土石製品製造業と建築材料,鉱物・金属材料等卸売業が316人で続く。製造業の業種が品目別で細かく分かれるため、業種中分類別では組み合わせ上位へのランクインは少なかった。

代表兼任者 業種(中分類)別組み合わせ

個人別ランキング 兼任企業数は43社が最多

 個人別で、兼任企業数を集計した。トップは2人が43社でランクインした。次いで、3位は42社など、40社以上の兼任者は3人だった。
 一方、兼任企業数と比較して業種数が少ない代表は、投資資産の管理を目的に設立された企業の代表を複数兼任しているケースが多くみられる。
 事業実態が確認できる企業では、5位の企業数29社・18業種(食品卸ほか)を兼任する個人が最多だった。次いで9位の22社・19業種(建設資材卸ほか)、22社・14業種(パチンコホール経営ほか)の2人が続く。

個人別 兼任企業数ランキング(個人名は省略)

1社あたりの売上高は「兼任」が大きく上回る

 最新期を2022年度(2022年4月~2023年3月)とし、売上高と最終利益が3期連続で比較可能な50万3,574社を抽出し、業績を比較した。
 最新期の売上高は、「兼任」が208兆4,135億円で2020年度から2022年度の売上高伸長率は16.1%増。「兼任なし」は売上高が779兆2,794億円で2020年からの売上高伸長率は12.1%増で、直近の売上高伸長率は「兼任」が上回る。
 企業1社あたりの売上高は、最新期で「兼任」が43.4億円、「兼任なし」が17.1億円となり、「兼任」が2.5倍と大きく差がついた。
 「兼任」企業は、事業拡大により、エリアや事業別で分社化したグループ企業が多くみられ、1社あたりの売上高は「兼任なし」企業よりも膨らんだ。

「兼任」「兼任なし」の売上高

「兼任」企業は利益を伸ばしやすい傾向

 最新期の最終利益は、「兼任」が13兆7,664億円、「兼任なし」が47兆6,194億円だった。
 企業1社あたりの最終利益は、最新期で「兼任」が2.8億円、「兼任なし」が1.0億円で、「兼任」が上回る。利益率は、最新期で「兼任」が6.6%、「兼任なし」が6.1%と「兼任」が上回り、「兼任」企業は利益を伸ばしやすい傾向がみられる。
 グループ企業化が進む背景には、自社事業に集中し、意思決定が迅速なこと、バリューチェーンの強化などがメリットとして挙げられる。グループ企業間で代表者が兼任することは、それぞれの事業を担う企業の責任を明確化しつつ、価値観や方向性を一致させ、グループシナジーを生み出しやすくしているようだ。

「兼任」「兼任なし」の最終利益・利益率

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