• TSRデータインサイト

堀正工業、粉飾に手を染めた“初期衝動”

 粉飾決算で約50行から資金を調達し7月24日、東京地裁から破産開始決定を受けた堀正工業(株)(TSR企業コード:291038832、品川区)。その類を見ない粉飾決算に手を染めた“初期衝動”がわかってきた。

 東京商工リサーチが独自入手した破産申立書などによると、前代表の時代に業績悪化から取引先に仕入代金の支払い期日の延期を申し入れたことがあった。だが、これを拒否され、金融機関に追加融資を要請したが、利益が出ていないことを理由に応じてもらえなかった。

 2003年に現代表が就任すると、こうした轍を二度と踏まないために「融資を受けるためには利益が出ていることが必須」と考え、決算を粉飾して追加融資を受けるようになったという。
 適切な処理で作成した決算では赤字で実質的に債務超過となるため、当期利益が出るように売上高の金額を上げた。また、辻褄を合わせるために仕入金額を調整し、貸付金や借入金などにも手を加えた。こうして完成した決算書を税務署に提出したうえで、取引金融機関ごとに異なる粉飾決算書を作成していた。

 粉飾決算は、遅くとも現代表が就任した2003年から継続的に行われていた。


人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ