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2023年4月の「物価高」倒産は49件 前年同月の2.3倍増で、3番目の多さ

~ 2023年4月 「物価高」倒産の状況 ~


 原材料、エネルギー、食料品など、物価の上昇が続くなか、2023年4月に「物価高」が起因した倒産は49件(前年同月比133.3%増)発生、前年同月(21件)の2.3倍増と大幅に増えた。2022年秋から増勢をたどり、2023年3月の59件、2022年12月の56件に次いで、3番目の多さとなった。
 業績回復が遅れるなか、物価上昇で価格転嫁が進まない企業を中心に、資金繰りがさらに悪化している。


 業種別の最多は、総合工事業と道路貨物運送業の各6件。次いで、職別工事業と食料品製造業、飲食料品小売業の各3件と続く。建設資材の価格高騰や燃料費の高止まりに加え、人件費の上昇でコスト負担が重く圧し掛かっている。
 負債額別は、1億円以上5億円未満が20件(前年同月比122.2%増)、10億円以上が3件(同50.0%増)で、次第に中堅クラスに移行している。
 東京商工リサーチ(TSR)が4月に実施した「『コスト上昇・価格転嫁に関するアンケート』調査 」では、原油・原材料価格の高騰で調達コストが上昇した企業は87.7%にのぼり、「現時点で受けていないが、今後影響が見込まれる」(構成比6.5%)を含むと9割以上(構成比94.3%)の企業が調達コストの増加に言及した。一方、上昇分を販売価格に全く転嫁できていない企業は42.2%を占め、全額転嫁の「10割」は5.4%にとどまった。
 コロナ禍の資金繰り支援で過剰債務に陥った中小企業は多い。経済活動の活発化に伴い、仕入コストの増大などで企業の資金需要は旺盛になっている。このため新たな資金調達が難しい企業ほど、物価高が資金繰り悪化に拍車を掛けかねない状況に陥っている。

※本調査は、2023年4月の企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、①仕入コストや資源・原材料の上昇、②価格上昇分を価格転嫁できなかった、等により倒産(私的・法的)した企業を集計、分析した。



2023年4月の「物価高」倒産、月次で過去3番目の多さ

 円安やウクライナ情勢などを背景に、原材料や穀物、エネルギー価格の上昇が続いている。2023年4月の「物価高」倒産は49件(前年同月比133.3%増)で、前年同月(21件)の2.3倍増と大幅に増加した。4月の49件は、2023年3月59件、2022年12月56件に次いで、過去3番目に多い。
 5月に入り外国為替相場は1ドル=135円前後で推移し、再び円安に振れる可能性も出ている。
 賃上げ機運も高まっているが、物価上昇で実質賃金は12カ月連続で減少しており、物価高が続くなかで個人消費の動向が企業業績に影響を及ぼすことも懸念される。

「物価高」倒産月次推移

【産業別】10産業のうち、7産業で増加

 産業別は、10産業のうち、金融・保険業、不動産業、情報通信業を除く7産業で前年同月を上回った。
 最多は、製造業の12件(前年同月比200.0%増、前年同月4件)だった。次いで、建設業が11件(同120.0%増、同5件)、運輸業が8件(同14.2%増、同7件)の順。
 円安やウクライナ情勢、コロナ禍のサプライチェーン混乱など、原材料や資材、エネルギー価格の高騰が続き、その影響が大きい業種で増加が目立つ。

産業別状況(4月)

【業種別】総合工事業と道路貨物運送業が6件

 産業別を細かく分類した業種別(業種中分類)では、最多が総合工事業と道路貨物運送業の各6件だった。
 次いで、職別工事業と食料品製造業、飲食料品小売業の各3件と続く。
 建設資材や燃料価格の高止まり、食材などの高騰が続く一方で、価格転嫁が難しい小・零細企業が影響を受けている。

【負債額別】中堅規模が主体

 負債額別は、最多が1億円以上5億円未満の20件(前年同月比122.2%増)で、物価高倒産の4割(構成比40.8%)を占め、中堅規模が中心となっている。
 以下、5千万円以上1億円未満が16件(前年同月比300.0%)、1千万円以上5千万円未満が9件(同200.0%増)、10億円以上が3件(同50.0%増)、5億円以上10億円未満1件(同66.6%減)の順。

負債額別状況(4月)

【形態別】消滅型の破産が約9割

 形態別は、消滅型の破産が43件(前年同月比126.3%増)、全体の9割弱(87.7%)を占めた。
 次いで、取引停止処分が5件(同150.0%増、構成比10.2%)、民事再生法が1件だった。
 コロナ禍の資金繰り支援策の副作用で、過剰債務に陥っている企業は多い。
 業績回復が遅れ、資材や原材料、エネルギーなどの物価上昇に見舞われ、資金繰りはさらに悪化している。
 新たな資金調達が難しく、事業継続が困難な企業が、破産を選択するケースが増えている。

【従業員数別】10人未満が7割

 従業員数別は、10人未満が36件(前年同月比260.0%増)で、「物価高」倒産の7割(構成比73.4%)を占めた。このうち、5人未満が24件(前年同月比300.0%増)、5人以上10人未満が12件(同200.0%増)。
 このほか、10人以上20人未満が10件(同42.8%増)、50人以上300人未満が2件(同100.0%増)と、それぞれ増加した。
 規模が小さい企業ほど物価高の影響が大きい。

【地区別】7地区で増加

 地区別は、中国、九州を除く7地区で増加した。
 増加率の最大は、中部の前年同月比350.0%増(2→9件)。以下、北海道が同200.0%増(2→6件)、関東が同180.0%増(5→14件)、近畿が同133.3%増(3→7件)。このほか、前年同月がゼロだった、東北と北陸が各3件、四国が2件。

 都道府県別の最多は、北海道の6件(構成比12.2%)。次いで、神奈川5件(同10.2%)、愛知と大阪が各4件(同8.1%)、茨城、埼玉、新潟、静岡、富山、三重、香川、福岡が各2件と続く。

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