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音楽雑誌の給与未払い問題、東京地裁が請求を棄却 元従業員の就業事実や多数の未払いは認める

地裁は複数の取引先やミュージシャンへの報酬未払いも認める


 国内外のロックミュージシャンのインタビューやライブレポートなどを掲載し、人気を集めた音楽雑誌「GrindHouse Magazine」。発行元の(有)グラインドハウス(TSR企業コード:296354708)と代表者を相手取り、元従業員(X氏)が未払い給与の支払いを求めた賃金請求事件で、X氏がグラインドハウスの業務に携わり、その報酬等が未払いであるという事実は認めたものの、東京地裁は「原告の主張は採用することができない」として請求は棄却した。X氏は控訴を見送った。

 この裁判は、2017年7月からグラインドハウスで働いていたX氏が、在籍した2018年5月までの10カ月間の未払い給与143万円の支払いを求めて提訴したもの。
 ロックファンだったX氏は、同社代表のA氏とTwitterを介して知り合い、働き始めた。その際、書面で雇用契約を結んでいなかった。
 X氏より前に、2009年から2017年まで同社に在籍していたY氏も未払い賃金や立て替えた経費支払い等を求め、2018年に東京地裁に提訴。この裁判でA代表は出頭や答弁書の提出を行わず、Y氏は同年に勝訴した。しかし、判決後も同社とA代表からY氏への支払いは一切ないという。また、X氏は、グラインドハウスの給与支払いをめぐり、2019年に未払い賃金のうちの10万円を求める少額訴訟を同社とA代表に対して起こしており、勝訴した。
 今回の判決で東京地裁は、就業に関して、入社後の展望を記した作文をX氏に提出させるなどした後に、不採用通知を出さなかった点や、同社への就業後、取引先にX氏を「部下」、「新スタッフ」などと紹介していた事実を認めた。また、同社のスケジュール管理や発行する雑誌の制作、動画の撮影・編集にX氏が携わり、その報酬が支払われていない事実に関しても認めた。ただ、X氏は入社に際して正式な雇用契約を結んでおらず、X氏から「グラインドハウスで働きたい」と頼んだ経緯を踏まえ、「被告から原告に対し、グラインドハウスで働いてほしいと述べたのではない」と判断した。
 また、東京地裁は、X氏が2019年にグラインドハウスとA代表に対して起こした少額訴訟(10万円)の判決について「事実」とした。しかし、判決確定後、X氏に支払いが行われていないことで、さらなる給与未払い分相当の損害発生は「認められない」として、残りの132万円を求めるX氏の訴えについては、棄却した。
 ただ、グラインドハウスが複数の取引先や同社に関わったミュージシャンへの報酬が未払いとなった事実に関する違法性は認定した。
 今回の判決を受け、X氏は「上訴の意向はない」とし、「棄却となっても、私が同社の従業員であるという事実や、これまで先輩方、取引先も含め、未払いである事実が認められ、嬉しく思う」と話している。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2023年3月1日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)

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