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平均寿命23.3年 ~2022年 業歴30年以上「老舗」企業の倒産~

コロナ禍で「新興」企業の倒産が増え、2年ぶりに短縮

 2022年に倒産した企業の平均寿命は23.3年で、前年の23.8年から0.5年短くなった。平均寿命が前年を下回ったのは2年ぶり。「老舗」企業の構成比は33.7%(前年33.8%)で、ほぼ前年並みだったが、「新興」企業の構成比が2008年以降の15年間で最高の29.6%(同26.5%)と3.1ポイント高まり、平均寿命の短縮につながった。長引くコロナ禍に加え、急激な物価高が、経営基盤が脆弱な「新興」企業に影響を及ぼしていることを示している。

産業別の平均寿命は、最長が製造業の35.7年(前年36.3年)で、構成比は「老舗」が62.7%、「新興」が8.6%だった。一方、最短は金融・保険業の12.5年(同15.7年)で、「老舗」が6.6%、「新興」が53.3%だった。製造業とは23.2年の開きがある。
「老舗」の構成比は、地区別の最高が北陸の47.1%(前年41.6%)で、15年間で初のトップ。都道府県別では、徳島県が58.0%(同50.0%)で、2014年以来、8年ぶりに最高だった。
「老舗」は、代表者の高齢化が進み、事業承継や後継者育成などの問題を抱えた企業も多い。
一方、「新興」は代表者が若く、柔軟で積極的な経営を打ち出しやすい強みがある。だが、コロナ禍に物価上昇や人手不足も加わり、耐性の低さを露呈する格好となった。この結果、2022年の倒産企業の平均寿命は2年ぶりに前年を下回った。

  • 本調査は、2022年の全国倒産6,428件(負債1,000万円以上)のうち、創業年月が不明の779件を除く、5,649件を対象に分析した。
  • 業歴30年以上を「老舗企業」、同10年未満を「新興企業」と定義し、業歴は法人が設立年月、個人企業は創業年月で起算。


平均寿命23.3年で2年ぶりに短縮、「新興」企業の構成比が最高の29.6%

 2022年の倒産企業の平均寿命は23.3年(前年23.8年)で、2年ぶりに前年を下回った。長引くコロナ禍で支援効果も薄れ、さらに原材料や資材、エネルギー価格の高騰など急激な物価高に見舞われた。このため、経営基盤が脆弱な「新興」企業の倒産増が平均寿命の短縮につながった。
業歴30年以上の「老舗」は1,904件(構成比33.7%)で、構成比は前年より0.1ポイント低下し、3年ぶりに前年を下回った。「老舗」企業は、その年月に応じて金融機関や取引先との関係を築き上げている。だが、過去の成功体験にとらわれ、外部環境の変化への対応が遅れるケースもある。また、高齢の代表者は、生産性向上や市場拡大への投資に消極的で、事業承継や後継者育成も後手に回りやすく、倒産や休廃業に追い込まれやすい。
業歴10年未満の「新興」の構成比は2008年以降の15年間で最高の29.6%で、前年(26.5%)から3.1ポイント上昇。経営体力が脆弱な「新興」は、コロナ禍で深刻な危機にさらされている。

業歴別倒産

平均寿命は4産業で延びる

 産業別の平均寿命は、10産業のうち、農・林・漁・鉱業、小売業、運輸業、情報通信業の4産業で延びた。一方、平均寿命が短縮したのは建設業、製造業、卸売業、金融・保険業、不動産業、サービス業他の6産業だった。
平均寿命では、最長が製造業の35.7年で、前年(36.3年)より0.6年短縮し、2年ぶりに前年を下回った。次いで、卸売業27.9年(前年28.6年)、運輸業26.2年(同24.1年)、小売業23.9年(同23.1年)、農・林・漁・鉱業23.1年(同20.3年)の順。
平均寿命が最も短いのは、金融・保険業の12.5年(同15.7年)だった。
深刻な人手不足で倒産が増加した2019年から一転し、2020年以降のコロナ禍では国や自治体、金融機関などのコロナ関連支援が相次いだ。こうした支援が奏功し、「老舗」から「新興」まで幅広い企業で資金繰りが緩和され、企業倒産は低水準が続いている。
2022年は長引くコロナ禍で支援効果も薄れるなか、原材料や資材、エネルギー価格の高騰などで急激な物価高に見舞われた。このため経営基盤が脆弱な「新興」企業の倒産が増加し、平均寿命の短縮につながった。

業歴別倒産

産業別 製造業は老舗企業が62.7%、新興企業は唯一、1割を下回った

 産業別では、「老舗」企業の構成比は10産業のうち、農・林・漁・鉱業、卸売業、小売業、運輸業、情報通信業の5産業で上昇。一方、低下したのは製造業、金融・保険業、不動産業、サービス業他の4産業で、建設業は前年と同水準だった。
「老舗」企業の構成比の最高は、製造業の62.7%(前年65.0%)で、2年連続で60.0%を超えた。以下、卸売業42.9%(同42.1%)、運輸業37.8%(同32.2%)、小売業33.1%(同31.7%)、不動産業31.6%(同36.8%)と続く。
製造業は、2022年の社長の平均年齢が63.32歳で、60代以上が6割(60.9%)を占めた。後継者や事業承継の問題だけでなく、コロナ禍のサプライチェーンの混乱、円安による資材価格の高騰などで行き詰まるケースもある。
業歴10年未満の「新興」企業の構成比の最高は、金融・保険業の53.3%(同40.0%)だった。保険代理業のほか、中核企業の倒産に伴って倒産した投資業もあった。

業歴別倒産

法人格別 合資会社は老舗企業が58.3%、合同会社は新興企業が92.1%

 法人格別では、「老舗」企業の構成比は株式会社、有限会社、医療法人で上昇し、合同会社、一般社団法人、合資会社、個人企業で低下した。
「老舗」企業の構成比の最高は、合資会社の58.3%(前年64.7%)で、2年連続で低下した。
次いで、2006年5月に会社法の改正により廃止された有限会社が47.0%(同44.8%)、医療法人32.1%(同15.3%)、株式会社31.8%(同31.5%)と続く。
一方、「新興」企業の構成比では、有限会社に代わり新たに創設された合同会社が92.1%(同90.2%)で最高。以下、一般社団法人84.6%(同75.0%)、個人企業39.3%(同35.8%)の順。
平均寿命では、最高が合資会社の42.3年(同47.7年)で、最低は合同会社の5.0年(同5.1年)で、その差は37.3年(同42.6年)。
「新興」企業の構成比が最高の合同会社は、通常の株式会社に比べ手続きが簡素化されている半面、小規模事業者の設立が多い分、経営基盤が脆弱な企業も少なくない。

業歴別倒産

地区別 老舗企業は北陸が初のトップ

 2022年倒産の「老舗」企業の地区別は、9地区のうち上昇が5地区、低下が4地区だった。最高が北陸の47.1%。前年の41.6%より5.5ポイント上昇し、2008年以降の15年間で初めてトップになった。
次いで、四国45.7%(前年53.9%)、中国42.8%(同44.2%)、中部38.1%(同42.5%)、東北37.3%(同40.4%)と続く。
最低は北海道の30.7%(同28.2%)で、前年より2.5ポイント上昇した。
「老舗」企業の構成比トップの北陸は、石川県が50.0%で前年と同水準だったが、福井県が48.1%(同46.6%)、富山県が44.2%(同27.7%)と前年より上昇した。
「新興」企業の構成比では、北海道が32.3%で、前年の28.2%より4.1ポイント上昇し、2015年以来、7年ぶりにトップとなった。次いで、関東31.2%(同27.9%)、九州31.1%(同36.5%)、東北29.0%(同22.1%)、中部28.4%(同20.3%)の順。9地区のうち、九州を除く8地区で構成比が前年を上回り、中部(前年比8.1ポイント上昇)や四国(同7.4ポイント上昇)、東北(同6.9ポイント上昇)で伸びが高かった。

業歴別倒産

都道府県別 老舗企業の構成比は最高が徳島県58.0%

 2022年倒産の「老舗」企業の構成比を都道府県別でみると、トップは徳島県の58.0%(前年50.0%)だった。次いで、静岡県56.9%(同42.7%)、山形県53.3%(同53.8%)、新潟県53.2%(同47.8%)、愛媛県51.3%(同56.5%)と続く。全国平均の33.7%以上は30府県(前年全国平均33.8%、30府県)だった。
一方、「老舗」企業の構成比の最低は、沖縄県で14.7%(前年21.0%)だった。「新興」企業の構成比では23.5%(同47.3%)と31番目に高かった。
「老舗」企業の構成比が前年より上昇したのは23道府県(前年25都府県)だった。上昇幅の最高は佐賀県の前年比27.3ポイント上昇(13.6→40.9%)。次いで、岩手県が同20.6ポイント上昇(25.0→45.6%)、富山県が同16.5ポイント上昇(27.7→44.2%)、静岡県が同14.2ポイント上昇(42.7→56.9%)、鹿児島県が同12.7ポイント上昇(28.8→41.5%)の順。「老舗」企業の構成比が前年より最も低下したのは、高知県の同34.7ポイント低下(64.7→30.0%)だった。

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