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【負債1,000万円未満の倒産】1月は32件、4年ぶりに前年同月を上回る

~1月は2年連続ですべての倒産が「破産」~

 2023年1月の負債1,000万円未満の小口の企業倒産は32件(前年同月比60.0%増)で、1月としては2019年以来、4年ぶりに前年同月を上回った。ただ、引き続き低水準で推移している。
 このうち、「新型コロナ」関連倒産は11件(同266.6%増)で、負債1,000万円未満の倒産の3割超(構成比34.3%)を占めた。

産業別は、最多が「サービス業他」の15件(前年同月比25.0%増)で、負債1,000万円未満の倒産のほぼ半分(構成比46.8%)を占めた。サービ業他では、酒場,ビヤホール(2件)、焼肉店やバー,キャバレー,ナイトクラブ(各1件)を含む「飲食業」(2→5件)などが前年同月を上回った。次いで、「建設業」4件(前年同月比33.3%増)、「卸売業」(前年同月ゼロ)と「小売業」(前年同月比±0.0%)が各3件と続く。

原因別は、「販売不振」が22件(同69.2%増)で、全体の約7割(構成比68.7%)を占めた。
以下、「他社倒産の余波」6件(前年同月比500.0%増)、「事業上の失敗」2件(同100.0%増)。

資本金別は、「個人企業他」を含む資本金1千万円未満が29件(同52.6%増)で、全体の9割(構成比90.6%)を占め、ほとんど小・零細企業だった。

形態別は、「破産」が32件(同60.0%増)で、1月は2年連続で全倒産が破産だった。1,000万円未満の負債を抱えて倒産する企業は、小・零細規模が中心で、財務基盤が脆弱な企業が多い。
そのため自力再建が難しく、資金繰りに行き詰まると破産による債務整理を選びがちだ。

コロナ関連の各支援策は縮小や終了が相次ぎ、支援効果の薄れから息切れ倒産が増えている。
2023年夏頃に「実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)」の返済開始がピークを迎えるが、円安や資源高による物価上昇、人件費上昇などで返済原資の捻出が難しい企業が増えている。
過剰債務に陥った中小・零細企業は少なくない。コロナ関連を含めて借入返済の見通しがつかない企業は、倒産だけでなく早めに廃業や事業譲渡なども視野に入れる可能性も出ている。

  • 本調査は、2023年1月に全国で発生した企業倒産(法的、私的)のうち、企業倒産集計(負債1,000万円以上)に含まれない、負債1,000万円未満の倒産を集計、分析した。

倒産32件、4年ぶりに前年同月を上回る

 2023年1月の負債1,000万円未満の倒産は32件(前年同月比60.0%増)で、1月としては2019年以来、4年ぶりに前年同月を上回った。
「新型コロナ」関連倒産は11件(前年同月比266.6%増、前年同月3件)で、負債1,000万円未満の倒産に占める構成比は34.3%(前年同月15.0%)だった。
負債1,000万円未満の倒産は、資金余力が乏しい小・零細企業がほとんど。コロナ関連の各種支援も縮小・終了するなか、業績回復も進まず、事業継続の断念につながりやすいようだ。

1000万未満

【産業別】サービス業他が約5割

 産業別では、10産業のうち、農・林・漁・鉱業、小売業、金融・保険業、情報通信業を除く、6産業で前年同月を上回った。
最多は、サービス業他の15件(前年同月比25.0%増)で、5年ぶりに前年同月を上回った。
ただ、構成比は46.8%で、前年同月の60.0%から13.2ポイント低下した。
このほか、建設業4件(同33.3%増)が5年ぶり、製造業2件が4年ぶり、卸売業3件と不動産業2件が3年ぶり、運輸業1件が2年ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
小売業3件、情報通信業2件が、それぞれ前年同月と同件数だった。また、農・林・漁・鉱業が、2011年以降、13年連続、金融・保険業が2年連続で、それぞれ発生がなかった。

業種別では、貴金属・宝石製装身具製品製造業(前年同月ゼロ)、酒場,ビヤホール(同ゼロ)、自動車一般整備業(同1件)が各2件、タイル工事業、電気配線工事業、貨物軽自動車運送業、かばん・袋物卸売業、スポーツ用品卸売業、食肉小売業、中古自動車小売業、不動産代理業・仲介業、不動産管理業、経営コンサルタント業、純粋持株会社、建築設計業、焼肉店、バー,キャバレー,ナイトクラブ、理容業、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所、労働者派遣業などが各1件で、それぞれ前年同月を上回った。

1000万未満

【形態別】破産が100.0%

 形態別は、「破産」が32件(前年同月比60.0%増、前年同月20件)で、4年ぶりに前年同月を上回った。負債1,000万円未満の倒産に占める構成比は、2年連続で100.0%だった。
一方、再建型の会社更生法は2009年以降の15年連続、民事再生法は3年連続、それぞれ発生がなかった。
負債1,000万円未満の倒産は、ほとんどが小・零細企業で資金に余力が乏しい。そのため、自力での経営再建や事業再構築は難しく、深刻な業績不振に陥ると事業継続を諦めて債務整理のため、破産を申請する動きが透けて見える。

【原因別】販売不振が約7割

 原因別は、最多が「販売不振」の22件(前年同月比69.2%増)で、2年ぶりに前年同月を上回った。負債1,000万円未満の倒産の約7割(構成比68.7%)を占め、前年同月の65.0%より3.7ポイント上昇した。
『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は22件(前年同月比69.2%増)で、4年ぶりに前年同月を上回った。負債1,000万円未満の倒産に占める構成比は68.7%で、前年同月の65.0%より3.7ポイント上昇した。
このほか、「事業上の失敗」が2件(同100.0%増)で6年ぶり、「他社倒産の余波」が6件(同500.0%増)で3年ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
一方、代表者の病気や死亡を含む「その他」が2件(同33.3%減)で、4年ぶりに前年同月を下回った。

【資本金別】1千万円未満が9割

 資本金別は、「1千万円未満(個人企業他を含む)」が29件(前年同月比52.6%増、前年同月19件)で、4年ぶりに前年同月を上回った。構成比は90.6%で、前年同月の95.0%より4.4ポイント低下した。内訳は、「1百万円以上5百万円未満」14件(同27.2%増、同11件)、「1百万円未満」6件(同100.0%増、同3件)、「個人企業他」5件(前年同月比±0.0%)、「5百万円以上1千万円未満」4件(前年同月ゼロ)だった。
このほか、「1千万円以上5千万円未満」が3件(前年同月比200.0%増)で、3年ぶりに前年同月を上回った。「5千万円以上1億円未満」と「1億円以上」は、2009年以降の15年間で、それぞれ発生がなかった。

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