• TSRデータインサイト

2022年の介護事業者 休廃業・解散が過去最多、コロナ感染防止の利用控えや物価高が直撃~ 2022年「老人福祉・介護事業」の休廃業・解散調査 ~

 2022年の「老人福祉・介護事業(介護事業者)」の休廃業・解散は、2010年の調査開始以来、過去最多の495件(前年比15.6%増)を記録した。2022年の倒産も過去最多の143件を記録し、倒産と休廃業・解散の合計は638件と初めて600件台を超えた。ヘルパー不足や競争激化に加え、コロナ下の感染防止から利用控えが進んだほか、物価高の影響で事業継続を断念する介護事業者も相次いだ。

介護事業者の休廃業・解散は、倒産と同様に介護報酬のマイナス改定や人手不足、大手との競争などから増加ペースが高まり、2018年は445件に達した。ただ、2018年度の介護報酬プラス改定で先行きに明るさも出て、2019年は395件に減少した。しかし、2020年は新型コロナ感染拡大による利用控えや感染防止の対策費用などが負担となり、倒産(118件)と同様に休廃業・解散も過去最多の455件に増加した。
2021年は、コロナ関連の資金繰りなどの支援効果で、倒産(81件)と同じ動きで休廃業・解散も428件に減少した。
2022年はコロナ禍も3年目に入り、支援効果の薄れや利用者数の回復遅れ、物価高、コストアップなどが重なり、倒産と休廃業・解散が過去最多を記録した。
2024年度は介護報酬の改定が予定されるが、大幅なプラス改定は期待できず、本格化する高齢化社会に備え、介護事業者の経営力強化は重要さを増している。だが、コロナ禍で資金面を含めて体力が疲弊している小・零細事業者も少なくない。コロナ関連支援の縮小も進行し、2023年は先行きの厳しさから休廃業・解散がさらに増加する可能性も高まっている。

  • 本調査は、日本産業分類(小分類)の有料老人ホーム、通所・短期入所介護事業、訪問介護事業など「老人福祉・介護事業」の休廃業・解散を集計、分析した。調査開始は2010年から。
  • 「休廃業・解散」は、倒産(法的整理、私的整理)以外で、事業活動を停止した企業と定義した。
  • 2022年の「老人福祉・介護事業」倒産は1月11日、プレスリリース済み。


倒産と休廃業・解散合わせて638事業者が市場から退出

 2022年に倒産以外で、事業停止した休廃業・解散の件数は、過去最多だった2020年の455件を40件上回る495件と急増した。経営者や介護職員の高齢化、コロナ禍の利用控えとコスト高による業績不振などが複合的に絡んでいる。
倒産と休廃業・解散の違いは、負債の返済の可否が鍵を握る。2022年に休廃業・解散しても負債が残れば、2023年に倒産へ移行する可能性もある。倒産と休廃業・解散は紙一重のケースも多い。介護事業者の苦境は、家族を含めて誰もが“介護難民”に直面する可能性を示唆する。
国や自治体からの資金繰りや職員の処遇改善、生産性向上などの支援が薄まると、経営再建が見込めない介護事業者も多く、2023年は休廃業・解散がさらに増勢を強める可能性がある。

介護

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「倒産発生率」ワーストは京都府 近畿2府4県がワースト10位内、地域の格差拡大

2025年の「倒産発生率」は0.199%で、2024年から0.005ポイント上昇した。地区別は、ワーストの近畿が0.31%、最低の北海道は0.126%で、最大2.4倍の差があり、地域格差が拡大したことがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

新型コロナ破たん、2カ月連続の150件割れ

2月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円未満含む)が140件判明し、2020年2月の第1号の発生から累計1万3,715件に達した。2026年1月は143件で2022年1月の117件以来、4年ぶりに150件を下回ったが、2月も140件と小康状態が続いている。

3

  • TSRデータインサイト

2025年の株主優待「導入」上場企業は175社 個人株主の取り込みが課題、優待廃止は68社に

2025年に株主優待の導入(再導入を含む)を発表した上場企業は175社だった。一方で、廃止を発表した上場企業は68社だったことがわかった。

4

  • TSRデータインサイト

2026年度の「賃上げ」 実施予定は83.6% 賃上げ率「5%以上」は35.5%と前年度から低下

2026年度に賃上げを予定する企業は83.6%で、5年連続で80%台に乗せる見込みだ。 2025年度の82.0%を1.6ポイント上回った。ただ、賃上げ率は、全体で「5%以上」が35.5%(2025年8月実績値39.6%)、中小企業で「6%以上」が7.2%(同15.2%)と、前年度の実績値から低下した。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 上場企業の「監査法人異動」は196社 「中小から中小」が78社、理由のトップは「監査期間」

全国の証券取引所に株式上場する約3,800社のうち、2025年に「監査法人異動」を開示したのは196社(前年比43.0%増、前年137社)だった。

TOPへ