コロナ破たん、12月は月間最多更新の243件 4カ月連続の200件超え 2022年の年間件数は前年比3割増の2,282件【12月29日16:00現在】
12月29日は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が35件判明、全国で累計4,843件(倒産4,685件、弁護士一任・準備中158件)となった。
件数は2022年に入って増勢を強め、9月(206件)、10月(226件)、11月(210件)に続き、12月も243件が判明。4カ月連続で200件を超え、12月は月間最多件数を記録した。
2021年の年間件数は1,718件で、2020年の843件に比べて2倍に増加。2022年は前年から3割増の2,282件と、大幅に上回った。
倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計245件判明した。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で5,088件に達した。
国内の企業数(358万9,333社、2016年総務省「経済センサス」)を基にした比率では、コロナ破たん率は0.141%で1,000社に1社が破たんした計算となる。都道府県別で最も比率が高いのは東京都の0.254%で唯一の0.2%台、一方最低は鳥取県の0.062%で、地域間での格差がみられる。
倒産抑制に効果を発揮したコロナ関連融資は、返済の本格化や利子補給期間の終了を控え、利用企業の返済余力が焦点となっている。また、過剰債務問題が深刻化する一方で、企業は経済活動の再開に伴う運転資金需要への対応も求められる。
経営資源の乏しい小規模事業者ほど、業績回復のめどや先行きの見通しが立たず、日々の資金繰りに追われるケースが大半だ。ここに、原材料価格や人手不足でのコストアップも負担となっている。コロナ関連破たんは、業績が回復せずに脱落する息切れ型と、運転資金を確保できない企業を中心に、年明け以降も増勢が続く可能性が高い。
【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 100件以上は14都道府県に ~
都道府県別では、東京都が1,009件と全体の2割強(構成比20.8%)を占め、突出している。以下、大阪府487件、愛知県238件、福岡県234件、神奈川県216件、兵庫県205件、北海道191件、埼玉県179件、千葉県134件、静岡県126件、宮城県105件、茨城県103件、栃木県102件、広島県101件と続く。
29日は全国で35件判明した。10~20件未満が2県、20~50件未満が21県、50件以上100件未満が10府県、100件以上は14都道府県に広がっている。
【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲⾷が最多 建設、アパレル、⾷品卸、宿泊が続く ~
業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で759件に及ぶ。営業制限が続いた地域を中心に、経営体力の消耗やあきらめによる飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性も強まっている。
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が547件に達した。小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の356件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が211件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が161件と、上位を占めている。
【負債額別】(負債1,000万円以上)
負債額が判明した4,795件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の1,778件(構成比37.0%)、次いで1億円以上5億円未満が1,556件(同32.4%)、5千万円以上1億円未満が949件(同19.7%)、5億円以上10億円未満が258件(同5.3%)、10億円以上が254件(同5.2%)の順。
負債1億円未満が2,727件(同56.8%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも13件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。
【形態別】(負債1,000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した4,685件の形態別では、破産が4,224件(構成比90.1%)で最多。次いで民事再生法が172件(同3.6%)、取引停止処分が164件(同3.5%)、特別清算が106件、内整理が14件、会社更生法が5件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。
【従業員数別】(負債1,000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した4,640件の従業員数の合計は4万3,978人にのぼった。平均すると1社あたり約10人となる。
4,640件の内訳では従業員5人未満が2,670件(構成比57.5%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が898件(同19.3%)、10人以上20人未満が577件(同12.4%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、下半期(7-12月)で15件。2022年は上半期で24件に増加し、7月以降もすでに28件発生している。
※企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。