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「開催しない」が71.1%、10月から10ポイント上昇  ~ 第2回・2022年「忘・新年会に関するアンケート」調査 ~

  新型コロナ「第8波」は新規感染者の増減を繰り返し、ピークが見えない状況が続いている。こうした事も背景に、「忘・新年会」開催へのハードルが一段と上がったことがわかった。東京商工リサーチ(TSR)が12月上旬に実施したアンケート調査で、忘・新年会を「開催しない」企業が71.1%と、前回(10月3日~12日)調査の61.4%から約10ポイント上昇した。10月後半からのコロナ新規感染者の増加が影響したとみられる。政府はワクチン接種や感染防止策の徹底で経済活動の再活性化を目指す。だが、コロナ第8波への突入で、飲食店はアテが外れ、忘・新年会の幹事は慎重な判断を迫られそうだ。

 前年同時期の調査(2021年12月1日~9日)では、忘・新年会を「開催しない」と回答した企業は79.4%だった。1年前より8.3ポイント減少したが、ここにきて「開催しない」が急上昇した。
 また、今年「開催する(開催した)」と回答した企業のうち、42.7%が「二次会を自粛する」、27.5%が「人数を制限する」と回答している。飲食店は、今年の師走もコロナ前の賑わいに戻ることが難しい状況だ。

  • 本調査は、2022年12月1日~8日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答4,766社を集計、分析した。
    資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
    前回調査(10月3日~12日)の結果は、10月28日に公表。

Q1.貴社では「忘年会」または「新年会」を開催しますか?(択一回答) 


「すでに開催した」は3.1%

 第8波を前に「早めの忘年会」も見られたが、「すでに開催した」は3.1%(4,766社中、151社)にとどまった。前年同時期の調査(2021年10月)の2.6%に比べ、わずか0.5ポイント増で大きなムーブメントになっていない。
 規模別では、大企業は「『緊急事態宣言』、『まん延防止等重点措置』に関係なく『開催しない』」が71.9%(646社中、465社)、中小企業も71.0%(4,120社中、2,928社)だった。
 前回調査(10月)は、それぞれ64.4%、60.9%で、中小企業の方が「開催しない」の回答が増加した。前年同時期の調査では、それぞれ82.7%、78.8%だった。

忘新年会アンケート

Q2. Q1で「すでに開催した」「『緊急事態宣言』の対象区域となっていなければ開催する」「『まん延防止等重点措置』の対象区域となっていなければ開催する」「『緊急事態宣言』『まん延防止等重点措置』に関係なく開催する」と回答された方に伺います。どのような形で開催しますか(しましたか)?(複数回答)  


二次会の自粛 最多の42.7%

 Q1で「すでに開催した」「『緊急事態宣言』の対象区域となっていなければ開催する」、「『まん延防止等重点措置』の対象区域となっていなければ開催する」、「『緊急事態宣言』『まん延防止等重点措置』に関係なく開催する」と回答した企業のうち、1,356社から回答を得た。
 最多は、「二次会を自粛する」の42.7%(580社)だった。次いで、「開催時間を制限(短縮)する」の27.8%(377社)、「人数を制限する」の27.5%(373社)の順。昨年同時期の調査では、それぞれ50.1%、36.4%、34.9%だった。
 また、「特に制限は設けない」は33.4%(453社)だった。前年同時期は21.0%で、大きく増加した。
 規模別は、「特に制限は設けない」は、大企業で26.5%(177社中、47社)に対し、中小企業は34.4%(1,179社中、406社)に達した。また、「人数を制限する」は、大企業で44.0%(78社)なのに対して、中小企業では25.0%(295社)だった。

過剰債務アンケート

都道府県別 「開催しない」7割以上は26道県、最低は沖縄県の50.8%


 都道府県別で、「開催しない」との回答が最も高かったのは静岡県で、85.0%だった。
以下、高知県83.3%、山口県82.3%、滋賀県81.8%、青森県81.6%の順。前年同時期の調査では奈良県、岐阜県、栃木県の3県が9割を超えたが、今回の調査では9割以上はゼロだった。
 一方、「開催しない」の割合が最も低かったのは沖縄県で、50.8%だった、次いで、福井県も57.6%で、長野県62.3%、佐賀県62.5%、石川県63.0%と、60%台で続く。
 「開催しない」との回答が7割を超えたのは26道県にのぼった。前年同時期は41都道府県だったことから、前年より15県(36.5%減)と大幅に減少した。
 大都市圏では、「開催しない」は東京都が69.0%(前年同時期79.9%)、大阪府が67.7%(同80.1%)、神奈川県が72.5%(同81.8%)、愛知県が75.8%(同79.7%)、福岡県が66.2%(同70.3%)だった。
 ただ、若い世代ほど会社の忘年会から離れ、友人や知人と少人数の飲み会、会食には参加する傾向にあり、若い世代の飲み会需要を取り込めるかどうかも飲食店の業績の浮沈にかかっている。

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