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事業再生実務家協会がシンポジウム、ポストコロナの再生支援を議論

 一般社団法人事業再生実務家協会(JATP)は10月24日、シンポジウム「事業再生の更なる展開に向けて」を開催した。
JATPは準則型私的整理手続きである「事業再生ADR」の国内唯一の認証機関で、主催するシンポジウムは事業再生や倒産法に詳しい弁護士や公認会計士、金融機関の担当者などの関心が高い。今回のシンポジウムは会場とWeb形式のハイブリット型で開催され、合計200人以上が参加した。

私的整理の到達点と課題

 基調講演は、一橋大学大学院・山本和彦教授が務めた。
山本教授は「事業再生に関する紛争解決手続の更なる円滑化に関する検討会」(2014-2015年)の到達点を、①商取引債権の考慮規定、簡易再生の運用改善、②少額債権の弁済要件の緩和、迅速な事業再生手続きの導入、③事業再生ADR関係法制の統合と恒久法化、裁判所認可型モデルの導入――の3つに分けて紹介。その上で、「2018年と2021年の産業競争力強化法の改正で、①が実現した」と検討会以降の状況を整理した。
私的整理を巡っては、コロナ禍で生じた過剰債務への対応に向け、新しい資本主義実現会議が「事業再構築のための私的整理法制の整備」を打ち出している。
山本教授はこれを念頭に、ドイツが2021年1月に制定した「企業の安定化及び債権の枠組みに関する法律」を引用しながら、対象債権者の範囲や債権調査の方法などについて、論点を提示した。

ポストコロナの再生支援

 今年3月に「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」が公表され、事業再生の現場では私的整理手続きへの注目が高まっている。こうしたことも背景に、基調講演後のパネルディスカッションでは再生支援の在り方に関する発言が相次いだ。
「地域中小企業の事業再生の現状と課題」と題したテーマでパネリストを務めた高橋太氏(合同会社リンクアンドクリエイション代表社員)は、「増加が見込まれる中小企業の自主再建型再生では、メインバンクの関与と低位でも収益力が認められれば、一定期間での債務超過解消などの数値基準は劣後に考えて良いのではないか」と、コロナ禍で事業改善に長期を要する中での支援の在り方を問いかけた。
これに対し、福井銀行で融資支援チームリーダーを務めた春木浩人氏(福銀リース経営企画室長)は、「地方企業の再生の場合、その事業が改善するか、地域経済のサプライチェーンを持続できるか、地域経済への寄与度などを勘案することが重要だ」と応じた。また、国際決済銀行(BIS)の定義による「ゾンビ企業論」が注目されている点に触れ、「償却前が黒字で銀行との信頼関係が構築され、後継者がいて事業継続が可能な場合、支援を継続するケースもある。円滑化法時代からリスケを継続しつつ、経営改善支援を実施している会社もある」(春木氏)と地域金融機関の矜持を述べた。
そのほか、信用保証協会が債権者の場合、議会承認の兼ね合いなどから再建に必要な債権の集約が進まない懸念などが共有された。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2022年11月4日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)

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