• TSRデータインサイト

コロナ破たん、関東に全体の4割が集中 1都3県が100件以上 「新型コロナウイルス」関連破たん【10月3日16:00 現在】

  10月3日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が13件判明、全国で累計4,180件(倒産4,037件、弁護士一任・準備中143件)となった。9月は206件が判明し、月間では2022年3月(216件)、2022年6月(212件)に次ぐ過去3番目となった。
 2021年の年間件数は1,718件に達し、2020年の843件に比べて2倍に増加した。2022年も9月までに前年同期比3割増(32.6%増)の累計1,606件に達し、高水準が続いている。
 倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計214件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で4,394件に達した。
 国内の企業数(358万9,333社、2016年総務省「経済センサス」)を基にした比率では、コロナ破たん率は0.122%で1,000社に1社が破たんした計算となる。都道府県別で最も比率が高いのは東京都の0.223%で唯一の0.2%台、一方最低は宮崎県の0.043%で、地域間での格差がみられる。
 コロナ関連融資は、返済開始が本格化する時期に差し掛かってきた。だが、コロナ禍以前の水準にまで業績が回復しないうえ、円安進行による資材高や物価高などの事業環境の悪化も重なり、返済原資を捻出できないケースが増加している。
 過剰債務に陥った企業の息切れや脱落を中心に、コロナ破たんは引き続き増勢をたどる可能性が高まっている。

【都道府県別】【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 100件以上は10都道府県 ~

 都道府県別では、東京都が889件と全体の2割強(構成比21.2%)を占め、突出している。以下、大阪府415件、愛知県207件、福岡県197件、神奈川県193件、兵庫県174件、北海道163件、埼玉県149件、静岡県114件、千葉県112件と続く。
 3日は大阪府で4件や東京都で2件など全国で13件判明した。10件未満は鳥取県のみの1県、10~20件未満が3県、20~50件未満が22県、50件以上100件未満が11府県、100件以上は10都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食が最多 建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で655件に及ぶ。営業制限が続いた地域を中心に、経営体力の消耗やあきらめによる飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性も強まっている。
 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が476件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の307件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が183件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が150件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した4,139件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の1,525件(構成比36.8%)、次いで1億円以上5億円未満が1,347件(同32.5%)、5千万円以上1億円未満が799件(同19.3%)、 10億円以上が235件(同5.67%)、5億円以上10億円未満が233件(同5.62%)の順。
 負債1億円未満が2,324件(同56.1%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも11件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した4,037件の形態別では、破産が3,631件(構成比89.9%)で最多。次いで民事再生法が159件(同3.9%)、取引停止処分が147件(同3.6%)、特別清算が82件、内整理が14件、会社更生法が4件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した4,030件の従業員数の合計は4万194人にのぼった。平均すると1社あたり約10人となる。
 4,030件の内訳では従業員5人未満が2,277件(構成比56.5%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が787件(同19.5%)、10人以上20人未満が515件(同12.7%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、下半期(7-12月)で15件。2022年は上半期で24件に増加し、7月以降もすでに20件発生している。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


1003未満

‌               (負債1,000万円未満含む)                  

1003破たん率

‌               (都道府県別のコロナ破たん率)                      

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「マレリグループ」国内取引先調査 ~国内の取引先2,942社、影響懸念~

経営不振が続いたマレリグループの持株会社マレリホールディングス(株)(TSRコード:022746064、さいたま市北区)が6月11日(日本時間)、米国でチャプター11を申請した。東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースからマレリグループの取引先数(重複除く)は国内2,942社あることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

2025年1-5月の「病院・クリニック」の倒産 18件 前年上半期に並ぶ、ベッド数20床以上の病院が苦戦

コロナ禍を経て、病院やクリニックが苦境に立たされている。2025年1-5月に発生した病院・クリニックの倒産は18件で、すでに2024年上半期(1-6月)に並んだ。

3

  • TSRデータインサイト

「日産ショック」とマレリ、部品サプライチェーンの再編含み

マレリホールディングス(株)(TSRコード:022746064)と主要子会社は6月11日(日本時間)、チャプター11(連邦破産法第11条)を申請した。東京商工リサーチのデータベースによると、マレリグループの国内取引先は全国2,942社に及ぶ。

4

  • TSRデータインサイト

事前調整に明け暮れたマレリHDが再度破たん ~支援プレイヤーの場外乱闘の果て~

マレリHDを巡っては、準則型私的整理の一種である事業再生ADRでの再建を目指したが、海外金融機関の反対でとん挫し、前年の産業競争力強化法の改正で規定された民事再生の一部手続きを省略する簡易再生へ移行した。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の業績見通しに大ブレーキ 「増収増益」見込みが16.6%に急減

トランプ関税、物価高、「価格転嫁」負担で、国内企業の業績見通しが大幅に悪化したことがわかった。2025年度に「増収増益」を見込む企業は16.6%にとどまり、前回調査(2024年6月)の23.3%から6.7ポイント下落した。

TOPへ