• TSRデータインサイト

新型コロナ破たん全国累計は3,715件に 6月24日18時現在

   6月24日は18時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が9件判明、全国で累計3,529件(倒産3,378件、弁護士一任・準備中151件)となった。
 2021年の年間件数は1,718件に達し、2020年の843件に比べて2倍に増加した。2022年に入っても毎月100件以上の高水準で、5月までの累計は前年同期の約3割増の817件(前年同期比29.2%増)に達し、6月も24日までに151件とハイペースが続いている。
 24日、事業再生ADR手続による再建を目指していたマレリホールディングス(株)(TSR企業コード:022746064)が東京地裁に民事再生法の適用を申請。負債額は約1兆1,330億円で、これまでで最大のコロナ関連破たんとなった。
 倒産集計の対象外となる負債1,000万円未満の小規模倒産は累計186件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で3,715件に達した。
 政府主導の「中小企業活性化パッケージ」の関連施策など、企業支援は拡充されている。だが、業績不振の長期化で過剰債務に陥った企業は増加している。コロナ関連融資を得ながらも息切れするケースも散見され、コロナ破たんは引き続き高水準で推移する可能性が高い。

【都道府県別】(負債1,000万円以上) ~ 熊本県が50件に、100件以上は8都道府県 ~

 都道府県別では、東京都が741件と全体の2割強(構成比20.9%)を占め、突出している。以下、大阪府348件、福岡県178件、愛知県172件、神奈川県154件、兵庫県150件、北海道142件、埼玉県133件と続く。
 24日は東京都で2件、岩手県や埼玉県、新潟県、福井県、大阪府、広島県、熊本県で各1件判明し、熊本県で50件目となった。10件未満は1県、10~20件未満が4県、20~50件未満が24県、50件以上100件未満が10府県、100件以上は8都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食が最多の575件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で575件に及ぶ。営業制限が続いた地域を中心に、経営体力の消耗やあきらめによる飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性も強まっている。
 次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が389件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の268件。このほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が155件。インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が134件と、上位を占めている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した3,488件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の1,303件(構成比37.3%)、次いで1億円以上5億円未満が1,118件(同32.0%)、5千万円以上1億円未満が674件(同19.3%)、5億円以上10億円未満が201件(同5.7%)、10億円以上が192件(同5.5%)の順。
 負債1億円未満が1,977件(同56.6%)と半数以上を占める。一方、100億円以上の大型破たんも9件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した3,378件の形態別では、破産が3,010件(構成比89.1%)で最多。次いで民事再生法が142件(同4.2%)、取引停止処分が136件(同4.0%)、特別清算が72件、内整理が14件、会社更生法が4件と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
 先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した3,370件の従業員数の合計は3万3,135人にのぼった。
 3,370件の内訳では従業員5人未満が1,911件(構成比56.7%)と、半数以上を占めた。次いで、5人以上10人未満が661件(同19.6%)、10人以上20人未満が423件(同12.5%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 また、従業員50人以上の破たんは2021年上半期(1-6月)で17件、下半期(7-12月)で15件。2022年は23件発生している。


※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


0624以上

‌               (負債1,000万円以上)                  

0624未満

‌               (負債1,000万円未満を含む)                      

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ