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倒産の底打ちの可能性、小規模から中堅へ潮目も変化

 東京商工リサーチ(TSR)は4月11日、官公庁の担当者向けに2021年度と3月度の倒産状況の説明会を開催した。常務取締役情報本部長の友田信男が解説した。説明会は新型コロナ感染防止を考慮し、Web形式で開催した。

 説明の要旨は以下の通り。
   2021年度の企業倒産(負債1,000万円以上)は5,980件で、57年ぶりに6,000件を割り込む低水準だった。2年連続で前年度を下回り、新型コロナ関連の金融支援策で支えられた。
 負債総額も1兆1,679億7,400万円と1973年度に次ぐ、48年ぶりの低水準で、4年連続して前年度を下回った。件数、負債ともに、ほぼ半世紀ぶりの低水準にとどまった。
 負債1億円未満が全体の74.6%を占め、小規模企業が中心という流れは変わらないが、負債50億円以上100億円未満が23件(前年度12件)と倍増した。コロナ関連倒産は1,770件(同1,155件)と1.5倍に増え、支援で延命していた企業の「息切れ」などの潮目が変化してきた可能性が出てきた。
 産業別では、10産業のうち、運輸業だけが増えた。244件(前年度比7.4%増)と大きく増えた訳ではないが、一足先に人手不足の問題が顕在化し、燃料高騰などで増加に繋がったとみられる。また、建設業は年度では減少したが、ここにきて増加傾向にあり、動向に注意が必要だ。
 原因別では、運転資金の欠乏は105件(前年度比24.4%減)と減少し、コロナ関連の支援効果が出ていると言えるだろう。一方、赤字累積の「既往のシワ寄せ」が713件(同2.4%増)と増加した。支援効果が薄れた企業の「息切れ」も出始めたのか、注目すべきだ。また、偶発的原因の「その他」も213件(同5.4%増)と増えた。代表者の体調不良や死亡などが158件含まれ、年度の「後継者難」倒産は404件で過去最多だった。

友田本部長

‌オンラインで解説する情報本部長・友田

 年度は件数・負債とも減少したが、3月度は負債総額が2カ月連続で前年同月を上回り、少しずつ「中型化」してきた。
 3月度は10産業のうち、5産業が増加。特に、建設業が124件(前年度比31.9%増)と大幅に増えた。総合建設業は減少したが、職別工事業を中心に小・零細企業、下請け企業が増えており、建材・資材の価格高騰でコスト吸収が難しくなっているとみられる。
 今後の見通しは、四半期別で減少率が下半期にかけて縮小している。負債の中型化も進行し、コロナ倒産も増勢が強まっている。
 中小企業は業績改善が遅れ、過剰債務を抱えた企業への資金供給がやや厳しくなっている。過剰債務の解消は、中小企業にとって容易ではなく、すでに倒産は(減少から)底打ちしている可能性がある。これから息切れ倒産が全体の倒産を押し上げる形で、緩やかに増勢に転じる可能性が出てきた。

過剰債務への対応
 なお、過剰債務を抱える、いわゆる「ゾンビ企業」は推定30万社との数字が独り歩きしているが、見直しが必要だろう。世界決済銀行(BIS)は、「設立10年超で3年以上にわたってインタレスト・カバレッジ・レシオ(利払い負担に対する営業利益+受取利息・配当金の比率)が1未満にある企業」を「ゾンビ企業」と定義している。
 この定義で、TSRが保有する財務データで分析すると6.32%の比率となった。これは全国の約358万社(経済センサス)を基にすると、約23万社となる。
 インタレスト・カバレッジ・レシオは債務返済能力をみる一つの指標だが、BISの定義をコロナ禍でそのまま当てはめることはできない。10年未満の企業もコロナの影響を受けているためだ。
 そこで設立を考慮せず、インタレスト・カバレッジ・レシオではなく、単純に「営業利益」が「支払利息」を下回っている企業の財務データを分析してみた。
 それによると3年連続で該当する中小企業(資本金1億円未満)は11.5%、2年連続が6.9%、1年が16.3%、合計は約34.8%で、ほぼ3社に1社は1年以上、支払利息が営業利益を上回っていることがわかった。単純計算で100万社を超えることになる。
 それぞれ指標が異なり、「ゾンビ企業」を的確に表すことは難しい。ただ、20万社から100万社と幅は大きいが、実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)の返済が始まると収益が厳しくなる可能性のある企業が多いことは理解しておく必要があるだろう。

今年2月に実施した「過剰債務」のアンケートでは、中小企業で「コロナ前から過剰感がある」と回答したのは14.4%、「コロナ後に過剰になった」との回答は20.3%で、合計は34.7%になる。
 先ほどの「営業利益」と「支払利息」の分析とほぼ同水準の結果となった。
 また、経営者も債務過剰はわかっているが、アンケートでは約7割の企業が、「平時に戻るまで(コロナが収束するまで)事業内容を大きく変えず、経営を継続する」と回答している。当面、「現状維持」の意向を示す企業(経営者)が、事業再生をどう進めるのか。金融機関や支援機関との対話が必要になる。

 3月4日、経産省・金融庁・財務省が「中小企業活性化パッケージ」を公表した。同日、全国銀行協会と中小企業の事業再生等に関する研究会が「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」を公表した。アフターコロナの出口戦略のなかで、こうした事業再生のプログラムは重要だ。だが、経営者の意識改革は進んでおらず、どのように意識改革を進めて行くのか、今後の動向が注目される。

東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2022年4月13日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

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