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コロナ禍で「ペーパーレス」加速、印刷業のコロナ破たんがジワリ増加

 コロナ禍で「ペーパーレス」が加速し、印刷業のコロナ破たんが増えている。
2021年の印刷業のコロナ破たんは23件で、前年の6割増(64.2%増)だった。2022年も3月28日までに5件判明し、さらに増勢をうかがう状況だ。
契約書や回覧物などの紙からデジタルへの移行やコミケなどのイベント中止、広告減少が印刷業を直撃している。
コロナ前から広がっていた紙の生産減少や印刷の落ち込みは、コロナ禍でより広がった。環境対応や広告のデジタル化、テレワークの定着に加え、2022年1月に改正電子帳簿保存法も施行され、街の印刷業者は変革の時を迎えている。

紙の生産量は半減に

 印刷業のコロナ破たんは、2020年に14件発生。2021年もイベント開催が減り、団扇(うちわ)などの落ち込みやパンフレット印刷が減少した。
コロナ禍初期は、コロナ関連支援の資金繰り策が下支えしたが、業績回復の遅れから「息切れ」や「あきらめ型」の破たんが目立つ。
経済産業省の「生産動態統計調査」でも、印刷業の苦境が見て取れる。「印刷・情報用紙」の生産量は、2000年は1175万トンだったが、2020年は587万トンとほぼ半減した。パソコンやブロードバンドの普及、タブレット端末の機能向上などでペーパーレス化が進み、紙の減少に追い打ちをかけた。
同調査の「印刷」の生産金額は、2020年が3465億円で、2007年から2割(23.6%減)落ち込んだ。なかでも出版印刷は、2007年の1430億円から2020年は577億円に約6割(59.6%減)も減少している。
減少率が小さい商業印刷も、2020年は1211億円と前年比10%減だった。

印刷業

 2022年1月、電子帳簿保存法が改正され、デジタル化は加速している。印刷業界もデジタル印刷などDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応を避けられないが、中小事業者には投資が重くのしかかる。
生産性や付加価値などのアップを求められる裏側で、資金制約や人的リソースに限界を抱える中小印刷業者の生き残り策は待ったなしを迎えている。

印刷業



(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2022年3月31日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

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