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国内106銀行 総資金利ざや0.19%、4年ぶりに上昇(2021年9月中間期決算)

 国内106銀行の2021年9月中間期決算の「総資金利ざや(中央値)」は、0.19%で、前年同期の0.14%より0.05ポイント上回った。9月中間期としては、2017年以来、4年ぶりに上昇した。だが、「資金運用利回り(中央値)」の低下には歯止めが掛からず、銀行の資金運用の厳しさが際立った。
 2021年9月中間期の「資金運用利回り(中央値)」は0.89%で、9月中間期としては2年連続で1.00%を下回った。合併で前年同期と比較できない3行を除く103行では、資金運用利回りが前年同期を上回ったのは15行(構成比14.5%)にとどまった。一方、「資金調達原価(中央値)」は0.69%(前年同期0.80%)と縮小し、102行が前年同期を下回った。
 「総資金利ざや」は、資金の運用利回りと調達利回りとの差を示す。「資金運用利回り」が「資金調達原価」を下回る「逆ざや」は4行で、前年同期の10行から6行減少した。「逆ざや」は、大手行2行(前年同期3行)、地方銀行1行(同5行)、第二地銀1行(同2行)の4行。
 「逆ざや」の銀行数が10行を下回るのは、9月中間期としては2013年(9行)以来、8年ぶり。
 コロナ関連の制度融資(「実質無利子・無担保融資」など)は通常貸出に比べて高い金利となっているが、大手企業や地場優良企業などへの貸出は低金利が続いている。金利による収入増は見込めず、企業の再建・再生などのコンサルティング機能の発揮など、貸出以外での収入源の確保が急がれる。

  • 本調査は国内106銀行の2021年9月中間期決算で、「総資金利ざや」(国内業務部門)を調査、分析した。
  • 「総資金利ざや」とは、「資金運用利回り」-「資金調達原価率」で算出され、収益を示す一つの指標。貸出金や有価証券の利息などを指す「資金運用利回り」が、人件費や資金調達に要したコストの「資金調達原価率」を下回ると、貸出や運用で利益が出ていない「逆ざや」となる。
  • 銀行業態は、1.埼玉りそなを含む大手行7行、2.地方銀行は全国地銀協加盟行、3.第二地銀は第二地銀協加盟行。

「総資金利ざや」の中央値0.19%、4年ぶりに上昇

 国内106銀行の2021年9月中間期の「総資金利ざや(中央値)」は0.19%だった。前年同期の0.14%から0.05ポイント上昇し、9月中間期では4年ぶりに前年同期を上回った。
 2021年9月中間期の「資金運用利回り(中央値)」は0.89%だった。2012年同期は1.41%だったが、低金利の貸出競争の激化で資金運用利回りの低下に歯止めが掛かっていない。2020年同期以降、2年連続で1.00%を下回った。
 106行のうち前年同期と比較可能な103行では、「資金運用利回り」が前年同期を上回ったのは15行(構成比14.5%)にとどまった。一方、「資金調達原価」が前年を下回ったのは、静岡銀行を除く102行だった。
 銀行は、資金調達コストの見直しや経費削減などで「資金調達原価」の低減に努め、「総資金利ざや」の確保に動いている。

総資金利ざや

「総資金利ざや」上昇は7割の76行、「資金調達原価」の縮小が下支え

 国内106銀行のうち、前年同期と比較可能な103行では、2021年9月中間期の「総資金利ざや」が前年同期より上昇したのは76行(構成比73.7%)で、前年同期の58行から18行増加した。
 上昇した76行のうち、59行(同77.6%)は「資金運用利回り」が縮小した。ただ、「資金調達原価」も低下したことで、「総資金利ざや」の上昇につながった。
 「資金運用利回り」の中央値は0.89%(前年同期0.95%)で、前年同期より0.06ポイント低下。103行のうち、前年同期を上回ったのは15行(構成比14.5%、前年同期11行)で4行増加した。
 一方、「資金調達原価」の中央値は0.69%(前年同期0.80%)で、前年同期より0.11ポイント低下した。前年同期を下回ったのは静岡銀行を除く102行だった。

「逆ざや」は4行、8年ぶりに1ケタに

 「総資金利ざや」がマイナスの「逆ざや」は、4行(大手行2行、地方銀行1行、第二地銀1行)にとどまった。前年同期の10行から6行減少し、2013年9月中間期(9行)以来、8年ぶりに10行を下回った。
 「逆ざや」は、マイナス金利導入後の2016年9月中間期、2017年9月中間期は19行に増加し、9月中間期としては2010年以降で最多を記録した。その後も「資金運用利回り」は改善していないが、資金調達原価の縮小で2021年9月中間期の「総資金利ざや」は上昇した。

総資金利ざや


 2021年9月中間期での「総資金利ざや」の逆ざやは4行と、9月中間期では調査を開始した2010年以降、2010年の4件と並び過去最少を記録した。
 金融機関は、コロナ禍の資金繰り支援策で積極的に中小企業への貸出を伸ばした。だが、大手企業や地場優良企業、地元自治体など、比較的リスクが低い先への貸出は低金利が続き、「資金運用利回り」の低下に歯止めが掛かっていない。
 その一方で、給付金や支援金などが預金にまわるケースも多く、また、市場からの資金調達も低金利だったことから「資金調達原価」は圧縮された。このため、「総資金利ざや」は9月中間期では2017年以来、4年ぶりに上昇した。
 2016年2月、日本銀行がマイナス金利を導入以降、金融機関は低金利の貸出が続き、本業での収益確保が厳しさを増している。また、コロナ禍で企業の業績回復が遅れ、コロナ後を見越した与信費用の増加も収益に影響を及ぼしている。
 コロナ禍の資金繰り支援策の副作用で、多くの中小企業が過剰債務に陥り、貸出は伸びが鈍化している。金融機関は、コロナ収束後の企業再生やM&Aなど、貸出以外での収益確保も必要となっている。

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