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倒産減少、資金繰り支援で「判断先送り」企業の今後

 東京商工リサーチ(TSR)は1月17日、官公庁の担当者向けに倒産状況の説明会を開催した。友田信男・常務取締役情報本部長が2021年の倒産概況を解説した。説明会は、新型コロナ感染防止を考慮してWeb形式で開催した。

説明の要旨は以下の通り。

 2021年の企業倒産(負債1,000万円以上)は6,030件で、1964年(4,212件)に次ぐ57年ぶりの低水準だった。年初の見通しは、コロナ禍で企業倒産は増加するとみていたが、実際には2年連続の前年割れでバブル景気時よりも少ない件数となった。終了期限を迎えたコロナ関連支援が継続され、資金繰り緩和効果の持続から倒産減少につながった。

コロナ禍で注目されていた飲食業、宿泊業でも倒産は減少したが、運輸業では人手不足、人件費・燃料費高騰が打撃を与え増加した。特に、「貸切バス」倒産は過去30年間で最多の14件発生し、すべてがコロナ関連。医療では、病院の前年比6割減に対し、診療所は倍増と規模による二極化が鮮明になった。また、旅行業や結婚式場など対面型サービス業でも苦境が続くなど、業種によっては多大な影響を受けている。

形態別では、「破産」のうち、負債1億円未満が77.4%、従業員5人未満が79.4%と、小・零細規模が約8割を占めた。コロナ前は破産に占める小・零細企業の割合は70~75%だった。コロナ禍で小・零細企業が事業再生を諦めている。
小・零細企業の負債が膨らみ始めているのも、コロナ禍の特徴だ。これまでの負債は通常、年商の6、7割程度だったが、年商と同規模になっているケースが増えており、過剰債務が影響している可能性がある。

「後継者難」倒産は、過去最多の381件発生した。経営者の高齢化が進むと、長期的なビジョンを描けず設備投資なども実施できず、業績が悪化する傾向がある。
一方で、休廃業・解散は前年比1割減の4万4,377件だった。コロナ支援によって結論を先送りした企業が多かったのではないか。それらの企業の今後に注意する必要がある。
また、これまでは休廃業を選ぶ会社のうち6割以上が黒字だったが、今回は6割を切った。今までは(体力に余裕のあるうちに)早めの休廃業を選択するケースが多かったが、それが崩れ始めている。

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‌倒産概況を説明する友田・TSR情報本部長

業績回復が遅れた企業の新たな資金調達と過剰債務にも注意が必要だ。
コロナ禍で中小企業の3割が本業の儲けである営業利益で支払利息を賄えなくなっている。ゼロゼロ融資で、まだ支払猶予や利子補給を受けている段階にもかかわらず、そのような数字が出るのは中小企業がかなり厳しい状況に置かれているということでもある。
コロナ禍で借入金が増えた企業の財務分析では、借入金の月商倍率は2019年3月期5.35倍→2020年3月期5.32倍→2021年3月期8.20倍と急増した。売上減少なども背景にあるが、単純に月商3カ月分の借入が増えている状況だ。一般的に借入金が月商の5倍を超えると返済が厳しいといわれる。ゼロゼロ融資などの返済が始まった時、本業で稼ぐ力がどれくらいあるのか。様々なデータから実態を見ていく必要がある。

さらに、ここにきて円安、原油高、資材高が進んでいる。また、経済活動の再開に伴い、人手不足や人件費上昇も再び顕在化するのではないか。ただ、コスト上昇分の価格転嫁が難しい企業もかなり出てくるだろう。実際、11月の企業物価指数は前年から9%ほど上昇している一方で、消費者物価指数は0.6%とほぼ横ばいだ。企業間取引の物価上昇分と消費者物価の差異は誰が吸収するのか。今年の注目点になってくる。
オミクロン株が早期に収束した場合、経済活動再開で運転資金需要は高まるが、過剰債務だと売上が伸びても追加の運転資金借入が難しい。最悪の場合、「黒字倒産」に繋がる。反対に、コロナ禍が長引くと様々な支援で事業を継続している企業の息切れが始まる。
どちらであっても、中小企業の資金繰りはこの2年間の流れとは変わってくるだろう。

全銀協では私的整理に関する検討が始まり、政府による事業再構築補助金などの支援も継続している。しかし、中小企業全体を網羅できるような支援策は出てきていない。
こうした背景も含め、半世紀ぶりの歴史的な低水準にある企業倒産は、そろそろ底打ちから反転に向かうだろう。今後の支援次第だが、倒産は年度末に一つ目の転機、夏場にもう一つの転機を迎える可能性が高い。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2022年1月24日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

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