• TSRデータインサイト

忘・新年会を「開催しない」企業の割合、約8割に上昇=第2回・2021年「忘・新年会に関するアンケート」調査

 緊急事態宣言などが9月30日で全面解除され、2カ月が経過した。新規感染者数は激減しているが、新たに感染力が強いと言われる変異株「オミクロン株」の国内感染が確認された。
こうしたなか、東京商工リサーチでは12月1日~9日に「忘年会・新年会」のアンケート調査を実施した。忘年会を「開催しない」企業の割合は79.4%で、10月より9.0ポイント上昇した。
前回(10月1日~11日)のアンケート調査では、「宣言」や「重点措置」に関係なく忘年会、新年会を「開催しない」企業は70.4%だった。
忘年会・新年会を開催する(した)企業も、コロナ前と同じ形式での実施は21.0%にとどまり、実施も「二次会の自粛」「リモートで実施」「開催前にPCR検査」など、何らかの制限がある。
年末年始を前に、新たなオミクロン株の感染拡大が暗雲をもたらしている。コロナ禍に直撃された飲食店、納入業者は、忘年会・新年会の開催に熱い視線を向けていたが、「Go To キャンペーン」再開時期も未定で、この年末年始のイベント需要がコロナ前に戻るのは難しそうだ。

  • 本調査は、2021年12月1日~9日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答6,765社を集計、分析した。
    資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
    前回調査(10月1日~11日)の結果は、10月22日に公表。

Q1.貴社では「忘年会」または「新年会」を開催しますか?(択一回答)

規模別 大企業は8割以上が「実施しない」
規模別では、大企業は「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」に関係なく「開催しない」が82.7%(1,097社中、908社)で、前回調査を3.8ポイント上回った。「宣言」や「重点措置」の対象区域でなければ「開催する」は合計14.1%(155社)で、宣言や重点措置が発令された場合の「開催しない」は合計96.9%(1,063社)と前回調査を2.6ポイント下回った。
中小企業は「開催しない」が78.8%(5,668社中、4,467社)で、前回調査を9.9ポイント上回った。「宣言」「重点措置」でなければ「開催する」は合計16.7%(948社)。宣言や重点措置が発令されると「開催しない」は合計95.5%(5,415社)で、前回調査を2.9ポイント下回った。

忘年会アンケート

Q2. Q1で開催する(した)と回答された方に伺います。どのような形で開催しますか(しましたか)?(複数回答)

二次会の自粛が最多の50.1%
Q1で「すでに開催した」「『緊急事態宣言』の対象区域となっていなければ開催する」、「『まん延防止等重点措置』の対象区域となっていなければ開催する」、「『緊急事態宣言』『まん延防止等重点措置』に関係なく開催する」と回答した企業のうち、1,387社から回答を得た。
最多は「二次会を自粛する」の50.1%(1,387社中、696社)だった。
次いで、「開催時間を制限(短縮)する」の36.4%(506社)、「人数を制限する」の34.9%(485社)の順。
「特に制限は設けない」は21.0%(292社)にとどまり、忘・新年会を開催する企業の約8割が何らかの制限や対策を講じる意向であることがわかった。
「その他」の回答では、「通常の2倍の広さを確保し、貸切で開催」(建築工事業、資本金1億円以上)、「リモートで実施」(リネンサプライ業、資本金1億円未満)、「社内で実施」(受託開発ソフトウェア業、資本金1億円未満)、「開催前にPCR検査実施」(塗料卸売業、資本金1億円未満)など。
リモート(オンライン)の浸透によって、忘・新年会をリモートで実施するという回答も目立った。

忘年会アンケート

都道府県別 「開催しない」7割以上は41都道府県
都道府県別では、「開催しない」の最高は奈良県の95.2%だった。次いで、岐阜県91.9%、栃木県90.5%、香川県88.1%、静岡県87.4%の順。
一方、「開催しない」の割合が最低だったのは秋田県の63.3%。以下、宮崎県65.3%、熊本県65.5%、山形県67.6%、長崎県68.1%と続く。
「開催しない」の割合が7割を超えたのは41都道府県にのぼり、前回調査の25県から大幅に増加した。また、前回調査では鳥取県、宮崎県、沖縄県の3県で「開催しない」の割合が6割を下回ったが、今回は47都道府県すべてで「開催しない」割合が6割を超えた。
大都市圏では、「開催しない」は東京都が79.9%(前回調査時69.9%)、大阪府が80.1%(同68.6%)、神奈川県が81.8%(同71.3%)、愛知県が79.7%(同69.7%)、福岡県が70.3%(同62.9%)だった。
東北や九州では比較的「開催しない」割合が低い県が多い傾向にあるが、忘・新年会の時期が近付くにつれ、全国的に「開催しない」企業の割合は上昇している。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ