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2021年度上半期は1,824社、前年度を大幅に上回るペースで推移 2021年度上半期「減資企業」動向調査

 資本金を減資(減少)する企業が相次いでいる。資本金1億円超から1億円以下に減資し、税制上の大企業から中小企業に扱いが変わる企業は、2020年度(2020年4月-2021年3月)に997社(前期比39.4%増、前期715社)と急増した。2021年度も上半期(2021年4-9月)だけで684社が判明。10月以降も旅行大手の日本旅行やレストランのジョイフルなど1億円への減資を計画しており、前年度を大幅に上回ることが確実になっている。
 すでにJTBやスカイマーク、グリーなどの大企業も資本金を1億円以下に減資し、減資へのハードルは下がっている。大企業を維持するメリットが薄まり、コロナ禍で傷んだ財務内容の改善や節税など、身の丈にあった経営を求める姿勢が背景にある。東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースで、2021年3月末と9月末の同一企業の資本金を調査した。
 これまで資本金は、事業規模や信用力などを測る目安だった。だが、コロナ禍で業績不振に陥る企業が続出し、赤字累積の解消や中小企業化による優遇措置を求めて減資する企業が目立つ。必ずしも資本金が企業の実力を示す「モノサシ」ではなくなったことを示している。
 税効果などを狙う減資か、財務改善のための減資か、区別はつきにくい。資本金の増減資で税負担の軽重が変わる現行制度の問題点を指摘する声もあり、制度見直しの議論が必要だろう。

  • 本調査は、TSR企業データベースから2019年から2021年の各3月末時点の資本金を比較。2021年9月末時点は同年3月末時点と比較。対象は株式会社、有限会社、合同会社を無作為で抽出した。2020年3月末と2021年3月末が261万9,720社、21年9月末は259万7,767社。
  • 資本金1億円超を大企業、1億円以下を中小企業と定義した。


 2021年3月末と同年9月末の資本金を比較すると、増資は6,785社(前期1年間で1万4,971社)と前期1年間のペースを下回って推移している。一方、減資は1,824社(同3,321社)で、すでに前期の半数を上回っている。
 減資のうち、1億円超の資本金を1億円以下に減資したのは684社(同997社)で、前期1年間の約7割(68.6%)に達した。このペースで推移すると年間1,400社に到達する可能性も出てきた。

産業別増減資 増資も減資もサービス業他が最多

 2021年度上半期の増資企業の産業別は、サービス業他が1,806社(構成比26.6%)で最多だった。ただ、2020年度の構成比は28.5%で、1.9ポイント低下した。次いで、建設業が1,442社(構成比21.2%)と2020年度から2.0ポイント上昇した。
 一方、減資企業の産業別は、最多はサービス業他の553社(同30.32%)だった。2020年度(同30.38%)とほぼ横ばいで、長引くコロナ禍で減資が高水準を持続している。構成比が上昇したのは、製造業302社(同16.5%、前期比1.9ポイント増)、運輸業83社(同4.5%、同1.1ポイント増)だった。

産業別 資本金1億円以下の減資企業

 資本金1億円超から1億円以下に減資した企業を分析した。
 2021年度上半期は684社が減資した。2020年度の1年間(997社)の約7割(68.6%)に達し、年間では大幅に増加する勢いをみせている。
 最多は、サービス業他の203社(構成比29.6%)。半年間で2020年度272社の7割超(74.6%)に匹敵する増加ペースをたどる。
 この他、増加が目立ったのは運輸業の23社(構成比3.3%、前期比0.8ポイント増)と情報通信業の130社(同19.0%、同0.8ポイント増)など。

資本金1億円以下に減資した企業の売上高別

 資本金を1億円以下に減資した企業で、2020年3月末と2021年3月末、および2021年9月末時点で判明した直近売上高を調べた。
 2021年度上半期(不明等を除く)は、最多は10億円以上50億円未満の193社(構成比28.2%)だった。次いで、100億円以上の107社(同15.6%)、1億円以上5億円未満の102社(同14.9%)と続き、100億円以上の突出ぶりが目立つ。
 売上高10億円以上が367社(同53.6%)と半数を超え、うち、100億円以上が全体の1割強(同15.6%)を占め、事業規模の大きな企業が増えている。


 新型コロナウイルスの影響が長期化し、業績悪化に対して財務内容を改善する動きが出始めた。上場企業の不動産売却などの資産売却のほか、資本金の減資も柱になっている。
 さらに、外形標準課税の対象から外れるなど中小企業向けの税制の優遇措置を狙った大企業の中小企業化も進み、減資企業の増加ペースが強まっている。
 資本金は、これまで企業の規模や実力を測る目安だった。だが、業績が悪化した大手企業の減資で、資本金額のステータスも薄まっている。特に、著名企業の1億円以下への減資が相次いだことで、減資に対する足かせが外れた風潮もある。また、資本金を1億円以下に減資するメリットも認知され、節税などを目的に減資する動きも広まっている。
 資本金額だけで税制が決まる現行制度の問題点も指摘される。ただ、減資へのハードルが下がったとはいえ、信用力の乏しい中小企業は減資の官報公告だけで信用が左右されることもある。一方、大企業や大手資本系列の企業は、減資だけでは信用に影響を受けにくい。
 現行の中小企業向け税制優遇措置を生かしながら、中小企業の定義見直しも必要かもしれない。コロナ禍で財務内容が悪化し、過剰債務に陥った企業も多いだけに、今後も資本金の減資動向が注目される。

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