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社長が逮捕されたテクノシステム(横浜市西区)、法的手続きの方針を撤回へ

 社長が東京地検特捜部に逮捕され、法人の法的手続きを表明していた(株)テクノシステム(TSR企業コード:352551062、横浜市西区)が、法的手続きを取り止める方向であることがわかった。東京商工リサーチ(TSR)の取材に複数の関係者が明かした。

 テクノシステムは、関係者に事業存続の意向を説明している。逮捕勾留中の生田尚之社長が事業継続を主張しているとみられ、法的手続きに向けた準備を担当していた代理人弁護士も年内に辞任する方向だ。関係者によると、生田社長の逮捕は想定外で、事業継続を求める生田社長と法的手続きの代理人弁護士の折り合いが付かなかったという。今後、株主などに現状や経緯などを説明する。

 テクノシステムは、再生可能エネルギー事業で事業を急拡大し、2019年11月期の売上高は161億3913万円をあげていた。ところが、資金を調達していたSBIソーシャルレンディング(株)(TSR企業コード:297322095)とのトラブルが2021年2月に表面化。資金繰りに行き詰まったテクノシステムは5月、バンクミーティングを開催し、民事再生、または破産の申請を視野に入れていることを明かしていた。
 だが、バンクミーティングから10日後の5月27日、金融機関に虚偽書類を提出して融資金をだまし取った疑いで、生田社長ら3名が東京地検特捜部に逮捕された。10月に開かれた幹部の初公判では、検察が粉飾決算を続けていたことを指摘している。

 TSRの取材に応じた関係者の一人は、「刑事事件に発展し、存続へ向けたプランがどのようなものかわからない」と話す。社会的な信頼を失ったテクノシステムが今後、事業を再開できるのか注目される。

テクノシステム

‌バンクミーティングを告げる掲示(5月撮影)


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2021年11月1日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

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