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早期退職制度、1割の企業が導入に前向き 中小企業では6%が「検討中」 「早期退職やセカンドキャリアに関するアンケート」調査

 この夏、企業の定年を45歳にする「45歳定年制」が話題に上がった。人材の流動化やリカレント教育(社会人の学び)など社会人の“学び直し”の機会促進が期待される一方、定年を理由にした「人材の使い捨て」を懸念する声も多い。政府が、生涯雇用を求めて70歳までの雇用義務を法律で定めるなか、定年引き下げや終身雇用の廃止など真っ向勝負の提言となった。
 東京商工リサーチ(TSR)が集計している「上場企業の早期・希望退職募集」は2019年以降、3年連続で1万人を超えた。深刻な業績悪化の企業だけでなく、堅調な企業もリストラに取り組んでいる状況を浮かび上がらせた。TSRは10月上旬、国内企業にアンケート調査を実施し、上場企業を中心に進む「早期退職」、「セカンドキャリア」制度の導入について訊いた。
 上場企業を含む大企業の約2割(19.3%)が今後の検討を含め、早期退職・セカンドキャリア制度を「導入する」と回答した。新型コロナ感染拡大で、業種により雇用維持が困難な企業もあるが、「早期退職」制度の導入は雇用悪化にもつながりかねない。

  • ※本調査は、2021年10月1日~10月11日にインターネットによるアンケート調査を実施。有効回答数9039社(Q3のみ9137社)を集計し、分析した。
    資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。

Q1.早期退職やセカンドキャリアに関連する制度を導入する動きがあります。貴社ではこのような取り組みを導入していますか?

全体の10%が「導入(検討)している」と回答
 早期退職、セカンドキャリアに関連する制度について、約9割(構成比89.6%)の8099社が「導入しておらず、今後も検討予定はない」と回答した。一方で、すでに「導入している」企業は349社(同3.8%)、現在「導入を検討している」企業は591社(同6.5%)あった。
 規模別では、大企業は11.2%が「コロナ前から導入している」と回答した。一方、中小企業は1.9%の150社にとどまった。中小企業に比べ、大規模で人員にも余裕のある大企業は、導入に積極的な姿勢がみえる。
 ただ、「導入を検討している」との回答は、大企業が7.2%(96社)、中小企業が6.4%(495社)と拮抗している。今後、中小企業でも同様の制度導入が広がる可能性を残している。

セカンドキャリアアンケ4


Q2.(Q1で導入していると回答した企業が対象)制度の対象年齢は以下のうちどれですか?

4割以上が「55歳以上」
 早期退職・セカンドキャリア制度の対象年齢として最も多かったのは「55歳以上」で127社(構成比43.3%)だった。次いで、「50歳以上」(68社、構成比23.2%)、「45歳以上」(36社、同12.2%)の順。
 50歳以上が7割弱(66.5%)を占めたが、全年齢対象を含む29歳以下が25社(同8.5%)あったことは注目される。
 海外の本社サイドの人事施策が強い外資系企業や製薬を中心にしたメーカー、一部小売などの大企業で、29歳以下も対象にした早期退職・セカンドキャリアの導入が散見された。

Q3. 2022年春入社の新卒採用について、当てはまるものは次のうちどれですか?

約4割が「例年通り採用を行った」
 2022年春入社の新卒学生の採用について、中小企業を中心に4887社(構成比53.4%)が「例年行っておらず、採用予定はない」と回答した。
 「例年通り行った」企業は3588社(同39.2%)で、合計93.1%の企業が、コロナ禍での採用は例年通りだった。
 ただ、旅行、広告、ブライダルなどのサービス業や一部メーカーを中心に651社(同7.1%)が 「例年、新卒を採用しているが、22年は採用活動をしなかった」、「当初計画より減らした」と回答。新型コロナが直接影響した企業を中心に採用控えが広がったが、全体では1割に満たなかった。

セカンドキャリアアンケ5


 大企業を中心に、早期退職・セカンドキャリア関連制度の導入が進んでいる。導入する企業では、現在は55歳以上の適用が大半で、今夏沸き上がった「45歳定年制」導入は、まだ皆無に等しい。
 ただ、今回の調査で全体の591社(構成比6.5%)が「導入を検討している」と回答。実際に導入している企業(349社、同3.8%)の1.7倍にのぼった。コロナ禍での有効求人倍率は、2021年8月1.14倍とコロナ前(1.63倍、2019年3月)にほど遠く、国内の雇用情勢は不透明感が漂う。こうした状況下で早期退職制度の導入は、従業員・企業双方に思いもよらぬ離職や労働環境の悪化も招きかねない。
 リカレント教育を推奨する声が一部にあるが、一般の会社員を対象とした主要支援策は「教育訓練給付制度」や各種コンサルティングなどで、金銭支給の対象プログラムや支給額は最大で半額程度と限定されている。
 国税庁による国内の正規・非正規を含めた平均給与は、2009年から2019年までの10年間で7.5%の伸長にとどまる。フルタイムで働く会社員に、リカレント教育を広げるには乗り越えるべき課題は少なくない。さらに、新卒対象の就活制度や学び直しを推奨する企業文化の育成も欠かせない。
 早期退職・セカンドキャリア関連制度の導入は、企業側が拙速に進めるのではなく、働く人の将来設計にも寄り添いながら慎重な検討が求められる。

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