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2020年「NPO法人」新設法人調査

 2020年(1-12月)に全国で新しく設立された「特定非営利活動法人」(以下、NPO法人)は、 1,342社(前年比15.0%減)だった。2013年から8年連続で減少し、過去10年で設立数がピークだった2012年の3,860社から3分の1に減った。NPO法人設立数の減少は、手続き条件の厳しさや運営の煩雑さなどが敬遠されたほか、2020年はコロナ禍による影響もあったとみられる。
 NPO法人の設立には、社員10人以上で事業計画書などの書面を所轄庁に提出し、設立の認証を受ける必要がある。認証後も毎年、事業年度に事業報告書や計算書類などを提出し、決算書は閲覧できることを求められる。3年以上にわたり事業報告書等を提出しないと、認証取消しもある。
 最近、設立数が急増する「合同会社」は設立手続きが簡単で、コストも安く、人気を集めている。2012年までNPO法人の新設が増えた背景は、2011年3月の東日本大震災の影響も大きかった。非営利組織で復興支援の意気込みに満ちた人が集まり、 NPO法人の設立が相次いだが、時間の経過とともに沈静化している。1998年施行の特定非営利活動促進法から20年余が過ぎたが、大きな法改正もないまま新しい時代のNPO法人のあり方も問われている。

  • 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(対象400万社)から、2020年(1-12月)に全国で新しく設立された「NPO法人」1,342社を分析した。調査対象期間は2011年から2020年。

NPO法人はコロナ感染拡大で3月から6カ月連続で減少

 主な法人格の前年比推移は、合同会社の増勢が目立つ。2020年は前年比10.1%増と大幅増で、新設法人の4社に1社(構成比25.3%)を占めた。社数が最も多い株式会社は同2.6%減。NPO法人は同15.0%減で、2013年から8年連続でマイナス成長をたどっている。
 NPO法人の月別の新設数は新型コロナ感染拡大した3月から大幅に減少し、8月まで前年同月を下回り、通年でも減少が鮮明だった。

NPO法人新設法人年間推移

都道府県別では東京都が最多、増加率トップは山口県

 都道府県別は、最多が東京都の172社(構成比12.8%、前年比33.8%減)。次いで、大阪府の113社(同8.4%、同5.6%増)、神奈川県の75社(同5.5%、同40.9%減)、兵庫県の70社(同5.2%、同19.5%減)と、都市部に集中した。一方、最少件数は福井県の3社(同0.2%、同70.0%減)だった。
 増加率トップは、山口県(6→13社)の116.6%増だった。佐賀県(8→16社)の100.0%増、3位は大分県(9→17社)の88.8%増と続く。一方、減少率は、最少件数だった福井県(10→3社)の70.0%減が最大の減少率だった。次いで、高知県(14→6社)の57.1%減、秋田県(16→7社)の56.2%減の順だった。
 地区別では、関東が476社(構成比35.4%)と3割超を占めた。次いで、近畿が248社(同18.4%)と関東・近畿で過半を占めた。ただ、9地区のうち、中国と四国を除く7地区が前年を下回った。増加率では、中国26.3%増、四国1.8%増だった。対して減少率では、北陸が36.3%減が最大で、関東23.9%減、東北23.5%減、中部20.3%減と続く。


 ボランティア活動など、地域貢献の印象が強いNPO法人は、一部に税制面の優遇措置もあり、設立には都道府県の認証が必要だ。また、役員の親族の数、報酬面での制限、事業報告書の作成負担など、ハードルは高い。
 1998年に特定非営利活動促進法が施行された。内閣府によると1998年度の認証法人数は23社にとどまったが、2002年度に1万社、2004年度2万社、ピークの2017年度は5万1,867社を数えた。
 だが、新設数の伸び悩みや廃業、解散などで2018年度から減少に転じ、2020年度は5万898社と5万社を割り込む可能性も出てきた。
 新設法人数の減少で認証数も減り、NPO法人を取り巻く環境は変わってきた。多少の法改正はあったが、1998年の施行から20年余を過ぎた特定非営利活動促進法の見直しも必要かも知れない。認証のハードルを下げ、運営コストの安価なNPO法人の簡易版、あるいは、非営利型の株式会社や合同会社、一般社団法人の制度拡充など、非営利法人が運営しやすい仕組み作りも待たれる。

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