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「格安スマホ業者」業績調査

 「格安スマホ業者」と呼ばれるMVNO(仮想移動体通信事業者)主要104社の最新期の売上高合計は、3兆4,674億5,000万円(前期比7.5%増)で、前期より2,431億5,000万円増加した。純利益の合計は、3,044億8,000万円(同22.0%増)で前期の2,494億8,300万円から大幅増となった。
 総務省によると、2020年12月末のMVNO契約数は2,586万件(前年同期比7.9%増、前年同期2,395万件)で、売上高の伸び率とほぼ一致する。順調な利用者数の増加が、売上高の伸長につながった。
 MVNO市場は引き続き拡大が見込まれるが、格安スマホ業者数の増加でシェア競争は激化している。
 総務省が携帯電話料金の値下げを目指すなか、大手キャリア3社は格安料金の新プランを展開し、格安スマホ業者の環境は厳しさを増している。さらに、2020年4月には楽天モバイルが第4のキャリアとしてMNOに参入し、成長をたどるMVNO市場は競争が激化しており、今後は市場からの撤退や淘汰が加速する可能性も高まっている。

  • 本調査は、仮想移動電気通信サービス(携帯電話に係るもの)を行う登録電気通信事業者129社のうち、MNO事業を行う2社(ソフトバンク、楽天モバイル)と解散済みの1社を除く126社を対象にした。
  • 最新決算期は2019年10月期-2020年9月期とし、前期(2018年10月期-2019年9月期)、前々期(2017年10月期-2018年9月期)との比較が可能な主要104社の業績を分析した。

全体業績 104社の売上高合計は2期連続で増収

 格安スマホ業者104社の最新期決算(2019年10月-2020年9月期)の売上高合計は、3兆4,674億5,000万円(前期比7.5%増、2,431億5,000万円増)だった。
 また、純利益合計は3,044億8,000万円(同22.0%増)で、増収増益となった。
 売上高合計は、前々期3兆842億9,400万円、前期3兆2,243億円で、2期連続の増収をたどった。格安スマホの浸透などで、市場での競争激化が利用者増につながり売上伸長に寄与したとみられる。
 純利益の合計は、前々期2,755億7,800万円、前期2,494億8,300万円で、前期は9.4%減と落ち込んだが、最新期では22.0%増と大幅増益となった。

格安スマホ

増収企業数は減少

 最新期の決算では、増収が85社(構成比81.7%)、減収が19社(同18.2%)で、増収企業が8割を超えた。
 ただ、前期の増収企業は95社(同91.3%)、減収企業は9社(同8.6%)で、最新期の増収企業は前期から10社減少した。市場が拡大するなかで、企業間格差が拡大しているようだ。
 最新期の増収企業85社のうち、売上高伸長率が5%未満の企業が51社(同60.0%)、5%以上10%未満が22社(同25.8%)だった。増収企業のなかでも、伸長率の格差が広がっている。

格安スマホ

最新期は減益・赤字企業が増加

 格安スマホ業者104社の最新期の利益は、増益が53社(構成比50.9%)、減益は51社(同49.0%)で拮抗した。増益企業の比率は前期から4.8ポイントダウンした。
 また、増収増益は44社(前期比18.5%減)、減収減益は10社(同100.0%増)だった。
 損益別では、最新期は黒字が97社(構成比93.2%)、赤字が7社(同6.7%)だった。
 赤字企業は、前期の6社(同5.7%)から1社増にとどまったが、前々期の2社(同1.9%)と比べると、5社増加しており、収益格差が顕在化している。
 業界全体では増収増益で好調にみえるMVNOだが、最新期では減益企業と赤字企業が増加し、ジワリと企業間格差が広がっている。

格安スマホ


 総務省によると、2020年12月末の携帯電話などの移動系通信契約1億9,234万件のうち、MVNOサービスは2,586万件(構成比13.4%)だった。近年、格安スマホの契約数は新規参入業者の増加に伴い増え続け、MVNO市場は拡大している。
 だが、2017年に届出電気通信業者の大手MVNOプラスワン・マーケティング(株)(東京都)が、広告費やリベート費用の負担による業績悪化などから民事再生法の適用を申請するなど、競合激化で厳しい経営のMVNOも少なくない。さらに、2021年春からは大手キャリア3社がデータ通信料の大幅な値下げプランを提供し、MVNOは同業者だけでなくキャリア(MNO)との競争にも巻き込まれている。
 こうした状況を受け、2021年1月に一般社団法人テレコムサービス協会MVNO委員会が総務省に対し、適正な競争のためには設備を保有するMNOと保有しないMVNOが同じ条件で設備を利用できる「イコールフッティング」の確保が必要不可欠との要望書を提出している。接続料や卸料金に関する不平等の是正に向け、MVNO側も働きかけているが、実効性のある規制にはまだ至っていない。
 契約数の増加で売上が伸長しても、採算を維持できず格安スマホ事業からの撤退が現実味を帯びる企業も出てきかねない。5Gの普及など、今後も通信環境は大きな変化が見込まれるなか、MVNOのニーズは高まることが期待されており、今後の展開が注目される。

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