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第5回上場企業「雇用調整助成金」調査

 新型コロナ感染拡大に伴い2020年4月に始まった雇用調整助成金(以下、雇調金)の特例措置が、2021年3月末で1年が経過した。
 この間、決算資料などに雇調金を計上、または申請が判明した上場企業は703社で、上場企業の18.3%にあたることがわかった。前回調査の2021年2月末の690社から13社増えた。703社の雇調金の計上額は合計3633億9980万円に達し、2月末から75億4870万円増加した。
 昨年4月に始まった緊急事態宣言による休業措置で、当初は従業員数の多い製造や首都圏に拠点を置く小売を中心に申請が目立った。その後、観光・レジャーを含むサービスや運送、地方に拠点を置く小売でも申請が相次ぎ、長引くコロナ禍による業績低迷を反映している。
 4月に入り「まん延防止等重点措置」が1都2府3県で適用された。今後、南関東3県と愛知県にも実施が予定されるなか、消費マインドと直結するBtoC業種はさらに需要回復が厳しさを増している。今後、本決算発表にかけて雇調金の申請、計上額がさらに増えるとみられる。

【申請社数】3月は新たに13社判明

 2021年3月末までに雇調金を申請した上場企業は703社で、計上額は3633億9980万円にのぼった。前回(2021年2月末)から13社、75億4870万円増えた。
 3月に新たに申請・計上が判明した13社の業種別は、サービスが5社で最多。次いで、小売と製造が各3社、卸売、不動産各1社だった。BtoC業種での需要回復の鈍さを反映している。
 また、13社のうち、6社が東京以外に本社を置き、地方でも雇用維持に苦慮している。また、業種によっては需要回復に時間を要することを示している。

【業種別】小売、サービスで増勢が顕著

 703社の業種別では、製造業が271社(計上額775億5590万円)で最多だった。
 次いで、観光を含むサービス業139社(同752億8690万円)、小売業134社(同626億5730万円)、運送業44社(同1158億4820万円)の順。
 全上場企業に対する利用率は、小売業が約4割にあたる38.2%でトップ。次いで、航空、鉄道など交通インフラを含む運送業が35.2%、サービス業26.5%と続き、BtoC業種が上位を占めた。製造業は18.2%。
 減便対応が続く航空、鉄道は1社あたりの計上額が大きい。さらに、観光関連を含むサービスは申請社数、計上額ともに増加傾向にあり、コロナ禍での雇用維持が深刻な状況を浮き彫りにしている。

【計上額別】「100億円以上」が4社

 703社中、計上額別の最多は1億円未満で273社(構成比38.8%)だった。社数は2月末(274社)から1社減った。
 一方、1億円以上5億円未満が229社(同32.6%)と7社増えた。1億円未満にとどまっていた中堅企業などの追加計上が増加し、計上額が1億円を超えたことが要因。
 2月末と比べ社数増は、100億円以上(3社→4社)、 10億円以上50億円未満(59社→60社)、 5億円以上10億円未満(51社→62社)、 1億円以上5億円未満(222社→229社)。
 50億円以上100億円未満(9社→8社)の減少は、エイチ・アイ・エスの計上額が100億円以上に繰り上がったため。

 2020年4月からの雇用調整助成金の特例措置期間中に、雇調金を申請・計上した企業は703社で上場企業の18.3%まで膨らんだ。当初は、緊急事態宣言下に休業を余儀なくされたメーカーや小売を中心に申請が多かった。だが、長引くコロナ禍で、時短営業や外出自粛が広がり、観光や外食、航空・鉄道などでも追加計上が相次いだ。計上額の上位10社のうち、6社が運送業、3社がサービス(すべて観光関連)、1社が小売だった。新型コロナで需要の落ち込みが深刻で、かつ従業員の多い業種に集中している。
 東名阪を中心に1月に再発令された緊急事態宣言は、3月下旬には解除された。だが、再び感染者数が急増し、4月に入り、1都2府3県に「まん延防止等重点措置」(以下まん延防止措置)が適用された。まん延防止措置は、ゴールデンウィーク(4月29日~5月5日)の期間も挟み、観光や外食、交通インフラなどは、需要回復がさらに遠のくことが危惧される。
 上場企業の早期・希望退職もハイペースで、21年1月から3月末までで前年同期を18社上回る41社が実施を発表している。募集人数は9505人で、前年同期(4,447人)の2倍以上に達する。
 21年度予算では、雇用調整助成金予算6117億円のほか、週20時間未満で働くパート従業員を対象に緊急雇用安定助成金124億円が計上されている。ただ、サービス、交通インフラ、小売(外食含む)など、コロナ前の業績に回復が難しい業種を中心に、店舗や事業拠点などで規模縮小や人員削減に着手する企業も散見される。今後、こうした業種を中心に、事業のスリム化による雇用への影響が懸念される。

雇調金0419

‌申請社数と計上額はともに増加傾向が続く上は3000億円を超えた

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