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倒産減少、過剰債務への対応が課題

 東京商工リサーチ(TSR)は4月9日、官公庁の担当者向けに倒産状況の説明会を開催した。友田信男・常務取締役情報本部長が2020年度(20年4月~21年3月)の倒産概況を解説した。
説明会は、新型コロナ感染防止を考慮してWeb形式で開催した。

説明の要旨は以下の通り。

 2020年度の倒産(負債1,000万円以上)は7,163件で、30年ぶりに8,000件を下回り、過去50年間で4番目の低水準だった。コロナ禍の当初は倒産の急増が懸念されたが、国や自治体、金融機関の支援もあり、大幅な減少となった。
インバウンドの消失などで宿泊業の倒産が増加する一方、飲食業は減少した。ただ、「新型コロナ」関連倒産は年明けから3カ月連続で100件を超え、増勢の気配をみせている。コロナ禍の収束の見通しが立たないなかで、息切れ倒産が増加しそうだ。
コロナ関連融資など資金繰り支援は倒産の抑制に繋がったが、過剰債務にも繋がっている。コロナ禍が2年目に入り、5、6月に当初の借入の返済が始まる企業は多い。しかし、企業業績の回復は遅れている。返済猶予のための体制も整いつつあるが、結果的には問題の先送りに過ぎない。リスケの間に抜本的な業績回復ができなかった企業は今後、厳しい状況になる。
過剰債務の解消のため、金融機関は中小企業へのコンサル機能や資本性ローンの活用などが求められている。特に、中小企業であまり進んでいない資本性ローンの活用は、銀行に加え信金、信組でも本気で取り組んでいかなければならない課題だ。
負債1,000万円以上の倒産が減少した一方、1,000万円未満の倒産は初めて600件台に乗せ、この20年間で最多となった。小・零細規模にコロナ禍の影響が強く出ている。今後は徐々に事業規模の大きいところにも広がっていくとみられる。
経営者の高齢化も問題になっている。2019年の経営者の平均年齢は62.1歳で、後継者がいないことによる倒産(「後継者難」倒産)は過去最多の354件に達した。後継者育成が進まなければ、倒産だけでなく休廃業を決断する原因にもなりかねない。
個別の業種では、「バー・スナック」で負債1,000万円未満の倒産が急増した。過小資本の小・零細企業が多く、酒類の提供という点でコロナ禍の影響を大きく受けた。「すし店」でも、体力のないところで倒産が急増している。「貸切バス」はインバウンドや国内旅行の減少が直撃し、倒産が過去最多となった。一方、同じ運輸業でも「軽貨物運送業」はネット通販の伸長で宅配増加の恩恵を受けて倒産は大幅に減少し、明暗が分かれる形となった。
コロナの前後を比較すると、調査対象1万4,604社中、ほぼ半数にあたる6,989社(47.8%)の企業で借入金が増加している。無借金企業の割合は、24.4%(2019年9月調査)から15.6%(2021年4月調査)に8.8ポイント低下した。
倒産企業の財務内容を分析すると、53.2%が直近決算で最終赤字だった。有利子負債構成比率(平均)は、生存企業の2倍にあたる64.0%に達する。また、注目すべきは、営業利益で利払いができない(支払い利息を下回る)『ゾンビ企業』の割合が、倒産企業では35.2%と生存企業の6倍になっている点だ。「ゼロゼロ融資」であればまだいいが、有利子で借入をしている企業では、業績悪化によって利益率が下がると営業利益で利払いできず、経営を大きく圧迫されることになる。それを避けるためにどうすべきかを、経営者や金融機関は真剣に考えていく必要がある。

アキュートリリーの破産申立書

‌過剰債務に警鐘を鳴らす友田・TSR情報本部長

TSRが3月に行った「新型コロナに関するアンケート調査」では、前年同月比で減収だった中小企業は7割を占めた。ピークだった昨年5月の9割弱からは改善したが、引き続き中小企業の業績は厳しい。また、宿泊業、飲食業、結婚式場・葬儀場などでは、売上が前年同月の半減以下となっている企業の割合が突出して高く、コロナ禍が相当痛手になっていることがわかる。
廃業に関する設問では、廃業を検討する可能性のある企業のうち、33.4%が廃業時に会社資産と個人資産を投入しても負債を完済できないと回答した。中小・零細企業にとっては、廃業と倒産は綱渡りのところにあることも注視しておかなければならない。廃業時に負債を完済できない企業が今後どう動いていくのかは、今後の倒産動向にも大きく影響してくる。
事業再生ADRや再生支援協議会、民事再生法などの利用で事業再生を望むかどうかという設問には、4.9%が肯定した。コロナ禍でも、何らかの形で事業を再生したい企業があることがわかる。
金融機関なども積極的に関与し取り組んでいかなければ、倒産を押し上げる材料になりかねない。過剰債務には、今後も注視が必要だ。

東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年4月13日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

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