• TSRデータインサイト

オンワードHD  3年ぶりの黒字へ=構造改革の効果とEC強化で

 「23区」「組曲」などを展開するアパレル大手の(株)オンワードホールディングス(TSR企業コード:290030471、東京都中央区、東証1部)は、事業の選択と集中効果やEC販売の伸長などから2022年2月期(連結)の最終利益が3年ぶりに黒字に転換する見通しと発表した。

 オンワードHDは、イタリアの連結子会社が保有していた「ジル・サンダー」の株式を4月中に譲渡する予定のほか、約1700の不採算店を閉鎖するなどグローバル事業の構造改革を急いでいる。仕入抑制や固定費の削減を進め、自社ECの強化も進展し、EC販売が百貨店と並ぶ主力販売先に成長するなど、構造改革の効果が着実に出てきている。

 4月8日、発表した2022年2月期(連結)の業績予想は、売上高1905億円(前年比9.3%増)、営業利益32億円(前年212億3000万円の赤字)、最終利益63億円(同231億8100万円の赤字)と3年ぶりに黒字化への転換を見込む。

 コロナ禍で百貨店など都市部の集客性は依然として厳しいが、3月の既存店売上(EC含む)が前年同月比で14.8%増と伸びた。新型コロナの影響が長期化し、アパレル不振が続くなか、アパレル大手の業績に明るさが見え始めた。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ