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オンキヨー、上場廃止へ=債務超過の解消見通せず

 オンキヨーホームエンターテイメント(株)(TSR企業コード:576419524、大阪府、ジャスダック、以下オンキヨー)は、2021年3月期(連結)の最終利益が59億8000万円の赤字見通しとなった。また、ファンドからの新株予約権の発行の行使が見込めず、債務超過の解消が困難な状況だ。このため、「7月末頃に上場廃止となる見込み」(オンキヨー)となった。

 今年1月に投資ファンドのEVO FUND(エボファンド)から約12億円を新株予約権の権利行使があったほか、3月30日に取引先など12社から現物出資などで21億5700万円の出資を受けた。さらに年度末の31日まで、エボファンドと新株予約権の行使の交渉を続け、債務超過の解消を目指していた。しかし、同日、ファンドが行使をしないと判断したという。そのため21年3月期は再び債務超過が回避できず、上場廃止基準に抵触する見込みとなった。

 同日、2021年3月期(連結)の業績予想を発表した。売上高は88億3000万円(前年218億800万円)、最終利益59億8000万円の赤字(前年98億8000万円の赤字)を見込む。半導体などの部品需給の逼迫による材料供給の遅延が響いた。さらに米国販売代理店に対する売掛金回収の目途が立たず、貸倒引当金の計上を余儀なくされた。

 オンキヨーは、オーディオやイヤホンなどの競合が激しく、業績が悪化。借入債務の削減など構造改革を実施していた。しかし、新型コロナの影響で海外生産工場の操業が一時停止するなど影響を受け、業績回復が遅れていた。取引先への支払遅延が続き、継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン注記)を記載していた。

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