• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

2021年1-3月 上場企業「早期・希望退職」実施状況

 2021年1-3月に早期・希望退職者を募集した上場企業は41社(前年同期23社)で、前年同期の約2倍のペースで推移している。人数はすでに9505人を数え、前年同期(4447人)の2倍以上で、リーマン・ショック直後の2009年(1万60人)に次ぐ、12年ぶりの高水準で推移している。
 2019年秋以降、消費増税、新型コロナ感染拡大による消費低迷を背景に、アパレル・繊維製品をはじめ、外出自粛や緊急事態宣言により業務を縮小せざるを得なかった観光でも実施が目立ち、新型コロナの深刻な影響は上場企業でも人員削減などの形で顕在化している。
 今後、2月期・3月期決算企業の決算発表や雇用調整助成金の特例措置終了が控えている。コロナ禍からの業績回復に時間を要するBtoC関連を中心に、上場企業の早期・希望退職募集がさらに加速する可能性がある。

業種別 アパレル・繊維製品と電気機器が各7社でトップ

 2021年1-3月に早期・希望退職者を募集した上場41社の業種別は、消費増税や外出自粛・在宅勤務の広がりで販売低迷が続くアパレル・繊維製品、拠点や既存事業の集約が進む電気機器が7社で並んだ。
 とくに、アパレル関連では業界最大手のワールド、三陽商会が2年連続で募集を発表し、コロナ禍による消費の落ち込みが直撃している。
 次いで、サービス業が4社で、いずれも観光関連だった。観光関連の募集は、過去10年間なかった。運送(2社)も2013年以来、8年ぶりの発生で、業種により新型コロナの影響は差が大きく、雇用面でも明暗を分けている。

「新型コロナウイルス」関連を実施理由にあげた上場企業は 6割超の27社

  2021年に募集を発表した41社のうち、新型コロナウイルスを実施理由の一つとしてあげた上場企業は27社で、全体の65.8%を占めた。観光関連が全4社、運送も全2社で、いずれも新型コロナを実施の理由としてあげている。さらに、外食も全2社が新型コロナを理由としており、長引く外出・会食の自粛が経営に大きく影響している。

募集人数1000人以上の大型募集は3社、2020年1年間(2社)を超える

 募集人数(募集時点の人数が非開示の場合は応募人数を適用)は、日本たばこ産業がパートタイマ―、子会社の従業員を合わせて計2950人が対象となり最多。次いで、KNT-CTホールディングスが1376人、LIXILグループが1200人で、1000人以上の大型募集は3社に達した。すでに3月末時点で、2020年の年間(2社)を超えた。
 一方、募集人数100人以下(若干名含む)も22件(構成比53.6%)あり、中堅企業の実施に加え、拠点の閉鎖や部門別での実施など小規模の募集も散見されている。


早期希望202103

‌                 3月時点で1万人に迫る勢い(TSR作成)                  

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

「渋谷区」が倒産最多、2年連続も視野 ~ 倒産企業の半数が業歴10年超、新設法人は伸び鈍化 ~

街の主役は若者から大人へ。再開発で変貌を遂げる「シブヤ」に異変が生じている。 渋谷区に本社を構える企業倒産(1-8月)は、全国の市区郡別で最多の123件に達した。昨年(2025年1-12月)は161件で2007年以来、18年ぶり全国ワーストだった

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

4

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

5

  • TSRデータインサイト

「畳製造業」 伝統産業に忍び寄る市場変化と後継問題 売上は3年連続で低迷、業歴100年超の老舗が2割超

9月24日は「畳の日」。全国畳産業振興会が4月29日と9月24日の年2回定めている。日本の住文化の伝統を引き継ぐ畳のすばらしさをアピールすることが目的だが、畳製造業が長期低迷に陥っている。 全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)だった

TOPへ