• TSRデータインサイト

事業再生ADR手続き中のサンデンHD、ハイセンスグループがスポンサーへ

 2020年6月に事業再生ADRを申請し、再建計画を策定中のカーエアコン部品製造大手、サンデンホールディングス(株)(TSR企業コード:270023828、東証1部、以下サンデンHD)は3月1日、中国の家電メーカー・海信家电集团股份有限公司(ハイセンス・ホーム・アプライアンス・グループ)との間で、株式引受契約を締結したと発表した。

 ハイセンスグループ傘下の特定目的会社に払込総額約214億円の第三者割当増資を実施。割当先がサンデンHDの74.88%の筆頭株主となる。サンデンHDは、調達する資金(差引手取概算208億7,300万円)のうち141億4,000万円を構造改革に使用し、67億3,300万円を成長投資に充てる。

 ハイセンスグループは中国・山東省に本社を置く家電メーカー。テレビやエアコン、洗濯機などの生活家電を中心に取り扱い、2019年度の連結売上高は日本円で1兆6,142億円。日本法人を通じて「ハイセンス」ブランドの家電販売を日本国内で展開するほか、2017年11月には東芝グループのテレビ部門だった東芝映像ソリューション(株)(TSR企業コード:180060694)を買収し、95%の筆頭株主となった。ハイセンスグループは車載関連事業の拡大を企図していた。

 サンデンHDの事業再生ADR手続きは、2020年12月11日に第2回債権者会議(協議)の続会を開催。ただ、新型コロナウイルスの影響などもあり、再生計画案の策定に時間を要し、2021年3月12日に第2回債権者会議の再続会を予定するなど、当初スケジュールから延長したことで先行きに注目が集まっていた。

 サンデンHDの担当者は東京商工リサーチの取材に対し、「(ハイセンスグループとのスポンサー契約は)現状は増資引受契約を締結したのみで、経営陣の交代などの具体的な内容についてはこれからとなる。ADR手続きは今回の契約を再建計画の柱としてスケジュール通りに進む見込みと考えている」とコメントした。
 4月27日開催予定の第3回債権者会議で事業再生計画案の決議を目指している。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2021年3月3日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ