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「東日本大震災」関連倒産(2月度速報値)

 2021年2月の「東日本大震災」関連倒産は2件(速報値:2月26日現在)で、3カ月連続で前年同月(3件)を下回った。
 今月11日に震災発生から10年を迎える。2020年(1-12月)の年間倒産件数は34件で、9年連続で前年を下回り、収束傾向をみせた。しかし、震災関連倒産は昨年5月を除いて毎月発生しており、震災発生から丸10年を経てもなお、爪痕の深さを改めて浮き彫りにしている。震災当月の2011年3月以来、震災関連倒産の累計件数は1,979件(2月26日現在)に達した。
 また、震災による直接または間接的な経営ダメージを克服し、立て直しを図ってきた企業に、2020年はコロナ禍が直撃し、事業継続を断念するケースも散発した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響にも注意が必要だ。

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2月の倒産事例

 (有)江戸屋旅舘(TSR企業コード:260162841、法人番号:2060002021953、栃木県那須塩原市)は板室温泉の温泉旅館「江戸屋」を運営。泉質の良さなどにより常連の湯治客が訪れていたが、従来から売上面では苦戦していたことに加え、東日本大震災とその後の福島第一原発事故による風評被害を受けて、経営環境は悪化の一途を辿っていた。そうしたなか、2017年1月には営業を停止、債務整理を模索したが2021年1月20日、岡山地裁より破産開始決定を受けた。負債総額は約4,200万円。

 累計件数1,979件のうち、都道府県別で最も多かったのは東京の576件。次いで、宮城199件、福島88件、岩手86件、北海道85件、神奈川80件、茨城79件、千葉77件、福岡71件、栃木63件、群馬61件、静岡51件、大阪49件、山形48件、埼玉47件と続く。東北6県の倒産件数は478件(構成比24.1%)だった。
 産業別では、最も多かったのが宿泊業や飲食業などを含むサービス業他の527件(構成比26.6%)。次いで、製造業460件(同23.2%)、卸売業363件(同18.3%)、建設業225件(同11.3%)、小売業187件(同9.4%)、運輸業82件、情報通信業66件と続く。
 被害型で分類すると、「間接型」1,739件(構成比87.8%)に対して、「直接型」が240件(同12.1%)だった。

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