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【2021年見通し】企業倒産「1万件」、休廃業「5万3,000件」

 東京商工リサーチ(TSR)は1月15日、官公庁の担当者向けに倒産状況の説明会を開催した。友田信男・常務取締役情報本部長が2020年の倒産概況と21年の見通しを解説した。なお、新型コロナ感染防止を考慮してWEB形式で開催した。

 説明の要旨は以下の通り。

   2020年(1-12月)の倒産は7,773件で、2年ぶりに前年を下回り、過去50年間で4番目の低水準となった。

 新型コロナの影響もあり、20年の春先までは倒産は増加すると想定していたが、手厚い資金繰り支援策で倒産は抑制された。ただ、飲食業や宿泊業はコロナ禍で人の移動が制限されたことで増加。また、老人福祉・介護事業でもコロナ感染を危惧した利用者の減少などで倒産が増加した。一方、在宅勤務の浸透や「巣ごもり需要」を取り込んだ小規模な食品スーパーなどは倒産が減少した。

 倒産の原因は「販売不振」が全体の73.7%を占めた。また、「偶発的要因」(構成2.6%)の大部分は代表者の死亡・入院などの「後継者難」関連で、事業承継が上手くいかずに倒産する企業が増えている。

 倒産した企業の多くは負債額1億円未満、従業員10人未満で、小・零細企業が中心だ。新型コロナの影響を受けた小・零細企業のほとんどは再建できず破産を選択している。従業員被害数の合計は4万723人にのぼった。

 上場企業倒産は、(株)レナウンと(株)Nutsの2社。2年間(08年・09年)で53件の上場企業が倒産したリーマン・ショック時と比較すると落ち着いている。コロナ禍では資金供給が円滑に行われているためだ。

 TSRが毎月実施しているアンケートでは、前年同月と比較して減収の中小企業は4-9月の6カ月連続で80%を超えた。10月は60%台まで減少したが、11月には再び70%台まで増加した。業種にもよるが、中小企業では、売上が2割減少すると多くの企業で赤字となる。資金供給が続けば倒産は抑制されるが、今後については厳しい見方をしている。

 コロナ禍で業績が悪化したままの企業に、銀行が短期借り換えに応じてくれないケースも出てきている。資金繰り支援は、反面では企業の過剰債務を招いた。こうした企業への対応を誤ると、倒産が高い水準に反転する可能性がある。

 コロナ禍で中小企業の事業再生の動きが鈍く、廃業を選択する企業も増えている。倒産と廃業は、市場から会社がなくなる点では同じだ。すなわち、取引先や勤務先が減るということで、雇用など経済にも影響が出る。

 緊急事態宣言は、発令されていない地域にも影響を与える。人の動きが減ることで交通機関、大消費地の東京で飲食店が時短営業となると、地方から東京に食材を卸している企業、生産者などにも影響が出る。三密回避と換気の徹底ができる焼肉店の倒産は減少するなど好材料もあるが、緊急事態宣言が出ている地域を中心に、経済が縮小しかねない。

 休廃業・解散は、年間で約5万件。倒産と合わせると、20年は5万7,000件程度の企業が市場から消えた。コロナ禍で変動要因は大きいが、21年の企業倒産は1万件、休廃業解散は5万3,000~5,000件を想定している。

20210118

‌オンラインで説明する友田・TSR情報本部長

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