• TSRデータインサイト

HIS 新型コロナで通期の売上高がほぼ半減し、上場来初の赤字転落

 新型コロナウイルスの影響で大手旅行会社の業績が悪化している。12月11日、(株)エイチ・アイ・エス(TSR企業コード:292203993、新宿区、東証1部)が2020年10月期(連結)の売上高がほぼ半減し、純利益が250億3700万円の赤字だったと発表した。2002年の上場以来、初めての純利益が赤字に転落した。
 国内旅行はGoToトラベルキャンペーンの利用増で期末に需要が回復したが、主力の海外旅行が各国で入国制限や渡航制限などの措置が取られたことが響き、売上が大幅に落ち込んだ。店舗閉鎖や臨時休業などの特別損失の発生で、多額の赤字計上を余儀なくされた。

 2020年10月期(連結)の売上高4302億8400万円(前年同期比46.8%減)、営業利益311億2900万円の赤字(同175億4000万円の黒字)、純利益250億3700万円の赤字(同122億4900万円の黒字)だった。
 同時に発表した2021年10月期(連結、第1四半期)の業績予想は売上高360億円(前年同期比82.0%減)、営業利益100億円の赤字、当期純利益63億円の赤字を見込む。

旅行各社も苦戦

 国内の主な旅行会社の決算も悪化している。最大手の(株)JTB(TSR企業コード:291158188、品川区)は、2021年3月期(連結)の経常利益が1000億円の赤字を予想している。「近畿日本ツーリスト」などを展開するKNT-CTホールディングス(株)(TSR企業コード: 290042437、新宿区、東証1部)は、2021年3月期(連結)の純利益が170億円の赤字を見込む。(株)日本旅行(TSR企業コード:290382467、東京都中央区)は2020年12月期(連結)の業績予想は未定だが、2020年1-6月(連結)の純利益は58億9500万円の赤字だった。
 旅行各社は、黒字化に向けて構造改革を進めている。GoToトラベルは、来年6月末まで延長が見込まれているが、運用停止も議論されるなど、動向は不透明な情勢が続いている。新型コロナの感染再拡大の影響が長期化しており、旅行業界は当面、苦戦しそうだ。

HIS1

‌HISの店舗(TSR撮影)

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ゴールデンウィーク明け、「退職代行サービス」の利用は慎重に

長かったゴールデンウィークが終わる。職場「復帰」を前に例年4月の新年度からGW明けにかけ、退職する人の話題が持ち上がる。この時期の退職代行サービスの利用も増加するという。4月に実施した「退職代行に関する企業向けアンケート調査」から利用するリスクの一端が浮き彫りになった

2

  • TSRデータインサイト

トーシンホールディングスの「信用調査報告書」

5月8日に東京地裁に会社更生法の適用を申請した(株)トーシンホールディングス(TSRコード:400797887、名古屋市、東証スタンダード)を取り上げる。

3

  • TSRデータインサイト

2025年度「医療・福祉事業」倒産、過去最多 ~ 健康と生活を支援する事業者の倒産急増 ~

生活に不可欠な医療機関や介護事業者の倒産が急増している。バブル経済1988年度(4-3月)以降の38年間で、2025年度は金融危機、リーマン・ショックを超える478件と最多を記録した。

4

  • TSRデータインサイト

2026年4月「人手不足」倒産 33件発生 春闘の季節で唯一、「人件費高騰」が増加

2026年4月の「人手不足」倒産は33件(前年同月比8.3%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。 4月の減少は2022年以来、4年ぶり。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の「早期・希望退職」 は2万781人 約7割が「黒字リストラ」、2009年度以降で4番目の高水準

2025年度に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は46社(前年度51社)で、人数は2万781人と前年度(8,326人)の約2.5倍に急増したことがわかった。社数は前年度から約1割(9.8%減)減少したが、募集人数は2009年度以降で4番目の高水準となった。

TOPへ