• TSRデータインサイト

政府、ポストコロナを見据えた事業支援を金融界に要請

 11月30日、金融庁は「中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会」を開催した。政府から麻生太郎・金融担当大臣、梶山弘志・経済産業大臣らが出席。金融機関等からは、三毛兼承・全国銀行協会会長(三菱UFJ銀行・取締役頭取執行役員)らが出席した。

 冒頭、麻生金融担当大臣は新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済は厳しい状況にあると述べ、年末・年度末の資金需要に対して引き続きの支援を要請した。今後については、目先の資金繰りだけでなく「経営改善・事業再生・事業承継・事業転換といった支援がますます重要になる」とした。

梶山経産大臣は「第一次・第二次補正予算で措置した資本性劣後ローン、経営力強化支援ファンド、中小企業再生ファンドなど資本性資金の支援についても各位が連携して実施する必要がある」と述べた。その上で、「経営改善や事業再生、新たな事業展開に関しても一層の支援をすることで事業者の前向きな取り組みを後押ししていくことも重要」と、求められる金融支援のあり方を強調した。

一方、三毛・全国銀行協会会長は「政府と歩調を合わせ、実質無利子・無担保融資をはじめとする資金繰り支援を着実に実行している。引き続き、政府や日本銀行と緊密な連携を保ち、金融面から経済を下支えし、企業の業績成長並びに地域経済の発展に貢献していくことが社会的役割であり公共的使命である」と応じた。また、経営者保証ガイドラインを活かした円滑な事業承継や、書面・押印の見直しによるデジタル化、中小企業の生産性向上にも言及した。

御室健一郎・全国信用金庫協会会長は「実質無利子・無担保融資の期間延長の前向きな検討」に加え、「地域のニーズに合わせ柔軟な対応をするための金融機関の業務範囲の規制緩和」、「金融庁検査と日銀考査の連携強化」の3点を要請した。

麻生大臣

‌麻生太郎・金融担当大臣

 意見交換では、和田義明・内閣府大臣政務官が「金融機関の業務範囲規制等の見直しについて具体的な検討を進めている」と述べた。金融庁検査と日銀考査の連携強化については「以前から金融機関のモニタリングで日銀と協力していたが、更なる連携強化のためタスクフォースを立ち上げたところである」と進捗を説明した。
前田泰宏・中小企業庁長官は、実質無利子・無担保融資の延長、中小企業向け支援策の一層の充実に関する要請に対して回答。資金繰り支援の重要性やポストコロナに向けた事業再構築や生産性向上への支援、経営資源の散逸を防ぐための事業承継、事業再生の支援体制整備などについて、「今後検討を具体化していく予定」と述べた。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2020年12月2日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「リファラル採用」 企業の半数に広がる 定着率はリファラルが新卒、転職エージェントを上回る

東京商工リサーチは、採用に関する企業向けアンケート調査を実施した。人手不足やAI・DXの普及で転職市場の活況が続き、近年はリファラルやアルムナイ採用も広がっている。特に、リファラル採用は、転職エージェントの紹介より従業員の定着率が高いと考える企業が多いことがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

大手ホテル好調 客室単価と稼働率が同時上昇 客室単価はコロナ禍の2倍超、稼働率は83.3%

インバウンド需要と国内旅行の復活で、大手ホテルの客室単価と稼働率が、コロナ禍以降で最高を更新した。 ホテル運営の上場12社(13ブランド)の2025年度の客室単価は、1万7,818円(前年度比8.6%増)で前年度より1,424円上昇した。稼働率は83.3%(前年度82.3%)で、高水準を維持した。

3

  • TSRデータインサイト

経営責任を取る事業再生、ジュピターコーヒーは黒字化へ ~ ネクスト・キャピタル・パートナーズ 単独インタビュー ~

2025年度の企業倒産は1万505件(前年度比3.5%増)で、2年続けて1万件を超えた。 こうしたなか、20年を超すファンド運営で事業再生を数多く手掛けてきたのがネクスト・キャピタル・パートナーズ(株)だ。浅野晃司・取締役執行役員に特色や取り組みを聞いた。

4

  • TSRデータインサイト

企業の7.8%で退職金「増額・導入」  「減額・廃止」企業は月給などへ、資産形成は自己責任

これまで「年功序列」や「終身雇用」が前提の日本の会社では、長く勤め上げてまとまった退職金を受け取ることが一般的だった。だが、東京商工リサーチ(TSR)のアンケート調査で、2023年以降の退職金制度は「増額・導入」が7.8%に対し、「減額・廃止」は1.9%だった。

5

  • TSRデータインサイト

サッカーW杯 日本代表を支える40社 売上1兆円以上8社 設立10年未満も

2026年6月11日、米国・カナダ・メキシコの3カ国共催で、史上最大規模のFIFAワールドカップが開幕する。5月15日、日本代表メンバー26名も発表され、関心が集まるなか、スポンサーシップやパートナーシップなど、サッカー日本代表・日本サッカー協会を支援する企業40社を調査した。

TOPへ