• TSRデータインサイト

家庭用ミシンの販売が好調、マスク作りから趣味まで

 「新型コロナウイルス」感染拡大によるアパレル不振で、工業用ミシンの販売が苦戦している。一方で、外出自粛や在宅勤務などで家にいる時間が増え、家庭用ミシンの販売が好調だ。特に、入門向けや普及機が好調で、マスク作りをきっかけにミシンの面白さが見直され、趣味の世界まで広がっているようだ。
ブラザー工業(株)(TSR企業コード:400008408、東証1部)は、2021年3月期の家庭用ミシンの販売台数を前期比3割増と見込む。ブラザー工業の担当者は、「家庭用ミシン事業の2020年4-9月の売上高と営業利益が創業以来、過去最高になった」と語る。急増の背景として、「家の中でミシンを使う手作り縫製のニーズが高まっている」(同担当者)とコロナ特需をあげる。
また、蛇の目ミシン工業(株)(TSR企業コード:290076897、東証1部)は、2020年4-9月の海外・国内ミシンの販売台数が前年同時期より3割以上伸び、86万台(前年同期64万台)に達した。蛇の目ミシン工業の担当者は、「在宅勤務など巣ごもりが浸透し、手作りマスクから始まったソーイング需要を取り込めた」と好調の要因を説明する。
JUKI(株)(TSR企業コード:291098924、東証1部)も、家庭用ミシンの2020年1-6月期の売上高は前年同期に比べ2割以上伸びた。
コロナ禍でアパレル業界向け工業用ミシンは当面、厳しい状況が続く見通しだ。だが、家庭用ミシンは「巣ごもり需要」に支えられ、好調を持続する。家の中で、リメイクなど手作り感がある「自分だけのモノ」を作る体験型の楽しみ。これがコト体験と通じるのかも知れない。ミシンメーカー各社は、コロナ特需で生まれた家庭用ミシンの需要定着に期待をかけている。

巣ごもりで販売が好調な家庭用ミシン(TSR撮影)

‌巣ごもりで販売が好調な家庭用ミシン(TSR撮影)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ