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2020年1-9月「そば・うどん店」倒産状況

 新型コロナの猛威が、あらゆる飲食業界を巻き込んでいる。なかでも身近で、馴染みの深い「そば・うどん店」は厳しさがひとしお。2020年1-9月の「そば・うどん店」の倒産は15件(前年同期比87.5%増、前年同期8件)で、前年同期と比べほぼ2倍増だった。特に、個人事業が8件と前年同期の2件から4倍に増加した。
 1-9月比較では、過去30年間で2011年などに記録した最多件数(16件)に迫る4番目の高水準で、すでに前年の年間件数(13件)を上回った。
 大手チェーンとの競合に加え、食の多様化や後継者の不在などで小規模の「そば・うどん店」の経営環境は悪化していた。そこに新型コロナ感染拡大で、休業や時短営業を余儀なくされた。地元に根付いた小さな店舗は、常連客の高齢者の足が遠のき、立ち食いそば店もサラリーマンの在宅勤務などで売上が落ち込んでいる。15件のうち、新型コロナ関連倒産も1件発生した。
 1-9月の「そば・うどん店」倒産15件の内訳は、「そば店」9店、「うどん店」6店舗だった。このうち、8件が個人事業、6件が有限会社、株式会社は1件のみで、いずれも従業員数5人未満の小規模店舗だった。
 「そば・うどん店」の倒産が現在のペースで推移すると、2015年の24件以来、5年ぶりに年間20件台に乗せる可能性が出てきた。あと2カ月余りで年末の年越しそばの時期を迎えるが、地域に根差した「そば・うどん店」を守るのも地元客だ。感染防止対策を講じた「そば・うどん店」を、「Go To Eat」キャンペーンだけでなく、普段から盛り上げていくことが必要だ。

  • 本調査は、日本産業分類(小分類)の「そば・うどん店」を抽出し、2020年1-9月の倒産を集計、分析した。

そばうどん

‌個人のそば・うどん店が苦境(TSR撮影)

5年ぶりに年間20件台に到達の可能性も

 2020年1-9月の「そば・うどん店」の倒産は15件(前年同期比87.5%増)で、2019年の1年間の倒産(13件)を上回った。年間では2015年(24件)以来、5年ぶりに20件台に乗せる勢いで推移している。
 負債総額も3億700万円(同比55.0%増、同1億9,800万円)と1.5倍増だった。件数の急増が背景にあるが、負債5千万円以上1億円未満が1件だったのに対し、14件は1千万円以上5千万円未満と零細規模が大半を占めている。個人経営が多い「そば・うどん店」は、新型コロナの資金繰り支援策が薄まると、倒産だけでなく休廃業まで上乗せしてくることが危惧される。

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